谷澤まさみ
谷澤まさみ

パッケージ表記が変わるだけで、まだ使える健康食品の在庫が廃棄対象に…。そんなもったいない現実に、法令を守りながら販路を見つける方法をまとめました。目次を見て必要なところから読んでみてください。

健康食品の「表示変更」で売れなくなる在庫が発生する理由とは?

健康食品を扱う現場では、「表示ルールの変更」によって、まだ品質に問題のない在庫が売れなくなってしまうという事態が少なくありません。特に2025年の食品表示基準の見直しにともなって、これまでのパッケージでは販売できなくなる商品が出てくる可能性があります。安全でおいしい商品を廃棄するしかないのか…?そんな不安を抱えている方に向けて、状況と対策をわかりやすくお伝えしていきます。

2025年の食品表示基準変更とは何か?

2025年に予定されている食品表示基準の改正では、「栄養成分の表示ルール」や「アレルゲン情報の強調方法」などが見直される予定です。とくに健康食品業界においては、パッケージ上で「○○に効く」「免疫をサポート」などの機能性に関する記述が、これまで以上に厳しく制限される可能性があるとされています。

✅ これにより影響を受けやすい表示項目の一例

  • 機能性表示(例:「疲労回復をサポート」)
  • 栄養強調表示(例:「ビタミンC豊富」)
  • 表示レイアウトの改訂(例:アレルゲン欄の位置変更)

ルールに従っていない商品は、例え品質が良くても販売ができません。つまり、まだ在庫があっても「法的には販売できない商品」になってしまうのです。

パッケージ変更による影響が出やすい業種と商品

今回の表示ルール変更は、すべての食品に関係するものですが、とくに健康食品やサプリメント、機能性表示食品を扱うメーカーや卸業者さんに影響が大きいといえます。

理由はシンプルで、これらの商品の多くがパッケージに機能性や健康訴求の文言を使用しているからです。たとえば、以下のような商品は要注意です。

商品カテゴリ表示変更の影響リスク
機能性サプリ非常に高い
栄養補助食品高い
美容系健康飲料中〜高
一般食品(例:ドレッシング等)中程度

この表からもわかるように、成分の魅力や効果を前面に出してきた商品ほど、表示変更の影響を受けやすくなっています。

法令違反を防ぐために「販売停止」に追い込まれるケース

実際に多くの事業者が直面するのは、「まだ売れる在庫はあるけれど、表記ルールに合っていないから販売できない」というジレンマです。

法令を守らないまま販売を続ければ、景品表示法や健康増進法、食品表示法に違反するリスクが出てきます。その結果、最悪の場合は回収命令や販売停止処分、信用失墜といった深刻な影響を受けることにもなりかねません。

こうしたトラブルを避けるために、「泣く泣く在庫を廃棄する」選択をしてしまう企業も少なくないのです。でも、それって本当にもったいないことですよね。

“売れない”じゃなく、“売り方を変える”という選択肢もあるんです。

次の章では、そんな在庫を法令を守りながら有効活用するための方法をご紹介していきます。


表記変更前の在庫を合法的に処分する方法

谷澤まさみ
谷澤まさみ

「もう売れないかも…」と思ってしまう前に、まだできることがあるかもしれません。表示変更によって販売に支障が出る在庫でも、正しい方法と販路を選べば、廃棄せずにきちんとお客様のもとへ届けることが可能です。ここでは、注意すべき点や販路選定の考え方についてお話しします。

「期限付き販売」や「注意喚起文」では対応できる?

一部のケースでは、パッケージ表記の問題点を明記し、注意喚起を添えることで販売継続が認められることもあります

✅ たとえば

  • 「この商品は2025年表示基準以前のパッケージです」
  • 「パッケージ表記と実際の成分には差異はありません」

といった文言を、商品ページや外装に添える対応です。

ただし、これはあくまで「軽微な表示変更」である場合に限られます。機能性や効能表示の修正が必要な場合には、販売自体が難しくなるケースが多いため、事前に専門家や法務部との確認が必要です。

つまり、注意喚起だけではカバーしきれない場面も多くあるというのが現実です。

「在庫処分セール」だけでは解決できない3つの課題

表記変更で販売が難しくなった在庫を、「とりあえず安売りしよう」と考える方も多いかもしれません。でも、単純な在庫処分セールには落とし穴がいくつかあります。

❶ ブランドイメージの毀損
大幅値引きが繰り返されると、「このブランド=安売り」という印象がついてしまう恐れがあります。

❷ 既存顧客・取引先との関係悪化
定価で取引してくれている店舗や販売代理店から、「なぜネットで安売りしてるの?」と不信感を持たれることも。

❸ 市場価格の崩壊
一時的な在庫処分が、長期的にはその商品の価値や定価水準を壊してしまうこともあります。

こうしたリスクを避けるためには、「安売り」ではなく、適切な“販売の場”を選ぶことが重要です。

市場価値を落とさずに販売する“販路選定”がカギ

ここで大切なのは、「どこで・誰に」販売するかという販路の選び方です。

たとえば、一般流通とは別のクローズドな販売チャネルを活用すれば、ブランド価値を守りながら在庫をさばくことが可能です。

✅ こんな販路が理想的です

  • 会員制の限定ECサイト
  • エシカル消費に関心のあるコミュニティ
  • ブランド価値を理解してくれる特定層のみがアクセスできる場

こうした“限られた人に届ける仕組み”がある販路であれば、表記違いの在庫でも適正な説明と共に、価値ある商品として販売することができるのです。

在庫をただ「売る」ではなく、「どう届けるか」を工夫することで、フードロスの削減にもつながりますし、企業としての信頼も守ることができます。

次の章では、そんな理想的な販路の一例として、コンプライアンスを守りながら在庫販売ができる新しいモデルをご紹介していきます。

フードロス対策と法令順守を両立するための新しい選択肢

谷澤まさみ
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表記が少し違うだけで、品質には問題のない商品が廃棄される——。そんな現実を前にして、「本当にそれでいいのだろうか?」と感じた方も多いのではないでしょうか。実は、法令をしっかり守りながら、フードロスも防げる販路が今、静かに注目を集めています。その選択肢を、一緒に見つけていきましょう。

表記違いでも「販売可能な販路」は存在する

まず知っておきたいのは、「表記違い=即、廃棄」ではないということです。もちろん、公のルートや大手流通での販売は難しくなりますが、販売の方法や対象者を工夫することで合法的に販売できるケースも多くあります。

たとえば、すでに表記内容が周知された消費者向けの販売や、限定された購入層にだけ案内される販売ルートであれば、適切な注意喚起と説明を添えることで販売が可能になることがあります。

つまり、販路をきちんと選べば、法令に反することなく「まだ売れる在庫」を活かせる道があるということなんです。

「購入者限定モデル」がなぜリスク低減につながるのか

最近注目されているのが、「購入者限定モデル(クローズド・バイイング)」という仕組みです。

このモデルでは、商品ページや価格は公開されていても、実際に購入できるのは登録済みの会員だけというスタイルをとっています。これがなぜ良いのかというと、次のようなメリットがあるからです。

✅ 購入者限定モデルの安心ポイント

  • 市場価格への影響が少ない(誰でも買えるわけではない)
  • ブランドの信頼を守れる(“安売り”感が出にくい)
  • 説明責任をしっかり果たせる(購入前に注意喚起や情報提供ができる)

このように、販売の場をコントロールすることで、リスクを大幅に下げることができるんですね。単なる「在庫処分」ではなく、「理解ある人へ丁寧に届ける」という姿勢が伝わります。

健康食品業界でも注目される“エシカル消費型”の流通

こうした新しい販路のあり方は、いまや健康食品業界の中でも注目の的です。

なぜなら、“健康”や“信頼”が何より大切なこの分野では、一度のブランド毀損が命取りになることもあるからです。そんななかで、「ただ安く売る」のではなく、社会貢献と法令順守を両立させた“エシカルな選択”ができる場が求められているのです。

たとえば、表記変更前の商品を「訳あり」として正直に伝え、会員限定で販売。さらに、売上の一部をフードバンク活動などに寄付するなど、エシカルな仕掛けを組み込んだ販売も登場しています。

“ムダをなくす”ことが、誰かの“役に立つ”に変わる。
そんな流通の形が、少しずつ広がっているのです。

次の章では、実際にこのような販路を提供しているプラットフォームを紹介しながら、表記変更在庫の“新しい出口”をご提案します。法令を守りながら、商品にも未来を——そんなやさしい選択肢が、今ここにあります。

👉 エシカルに在庫を処分する方法がまとめられた記事はこちら

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