
まだ食べられるのに廃棄される食品たち。実は、卸売業者こそが食品ロス削減のキーパーソンになるかもしれません。目次を見て必要なところから読んでみてください。
食品ロス削減が企業活動に求められる時代
「食品ロス」という言葉、最近よく耳にするようになりましたよね。ニュースやスーパーのPOPでも見かける機会が増えたのではないでしょうか。実は今、この“食品ロス削減”が、消費者だけでなく、企業活動にとってもとても大切なテーマになっています。特に卸売業者の皆さんにとっては、ただ物を売るだけでなく、「どう届けるか」「その背景にある価値をどう伝えるか」がますます重要になってきているんです。
なぜ今、食品ロス削減が注目されるのか?
まず前提として、食品ロスとは「まだ食べられるのに捨てられてしまう食品」のことを指します。これは、家庭だけの問題ではなく、流通や販売の現場でも日々起きていることなんです。
とくに最近では、次のような理由から食品ロスへの注目が集まっています。
✅ 気候変動への関心の高まり
✅ SDGsの浸透による企業責任の重視
✅ 物価上昇と食品価格の見直し機運
✅ 消費者の「もったいない」意識の変化
これまでなら、少しだけ期限が近いという理由で、まだ美味しく食べられる商品が棚から下げられ、そのまま処分されていたことも珍しくありませんでした。でも、「それって本当に捨てるしかないの?」という問い直しが起きているのです。
そして今、消費者は安さだけでなく「選んだ理由」や「その商品の背景」に共感する傾向が強くなっています。つまり、食品ロスを減らす取り組みが、信頼やブランド価値にもつながる時代になってきたと言えるのです。
卸売業者に求められる「役割の進化」
そんななかで、卸売業者にも新たな期待が寄せられています。それは、単なる中間流通としての役割を超えて、「価値を伝える存在」になることです。
たとえば、
- 少しパッケージが傷んだだけの商品
- 規格外で市場には出せなかった野菜
- 賞味期限が数週間先だけど在庫が多すぎる食品
こうした商品たちは、「売れ残り」ではなく、もう一度チャンスを待っている商品です。これらを「安いから売る」のではなく、「まだ使える・おいしく食べられる理由」とともに伝える。そんな提案が、今の消費者にはしっかり届くようになってきました。
つまり、エシカルな視点を持った提案が、ビジネスの差別化につながるということです。
表にしてみると、このような“役割の進化”が見えてきます。
従来の卸売 | これからの卸売 |
---|---|
商品を右から左に流す | 商品の「意味」や「背景」まで伝える |
売れ残ったら廃棄 | 売れ残りを価値に変える選択肢を探す |
価格競争に巻き込まれる | 共感で選ばれる新しい販路を持つ |
このように考えると、卸売業者が担える社会的な役割は、もっともっと広がっていきます。
そしてその一歩が、食品ロス削減というテーマに真剣に向き合うことなんです。
食品ロス削減は、環境のためだけでなく、企業の信頼やファンづくりにもつながる。
そんな時代が、もうすでに始まっているのです。消費者教育が信頼につながる理由
「食品ロス削減って、大事なのはわかるけど、ちゃんと伝えられるかな……」
そう思う方も、きっと多いと思います。ですが、少し見方を変えると、それは“教育”というよりも、“共有”に近いのかもしれません。自分たちが大切にしている想いや背景を、ていねいに伝えることで、共感が生まれ、信頼関係が育っていく。今、消費者との距離を縮めるカギは、この“伝え方”にあるのです。
「安売り」ではなく「価値訴求」で選ばれる
つい価格で勝負しがちな日用品や食品の世界。でも今、選ばれる理由は「安さ」だけではなくなってきています。
特にエシカルな商品や、レスキュー在庫などの場合、
✅「なぜこれが安くなっているのか?」
✅「誰かの困りごとを助ける選択なのか?」
✅「買うことで社会にどんな良い影響があるのか?」
こうした背景を知ることで、ただの“特価商品”が、“意味のある買い物”に変わるんです。
たとえば、「このドレッシングは賞味期限が2ヶ月後だけど、本来はギフト用で作られていたもの」とか、「このお菓子は形が少し崩れているけど、原材料はすべて国産で丁寧に作られている」など、ストーリーがある商品は、心を動かします。
そういう“価値”をきちんと伝えることができれば、安くなくても選ばれることがあるほどです。
価格以上の納得感をつくるのが、いまの“価値訴求”なんですね。
共感が生むロイヤルカスタマーと応援者
私たちは、ついつい「買ってくれる人=お客様」と考えがちですが、
“応援してくれる人”という視点で見ると、まったく違う関係性が見えてきます。
共感から始まる関係性は、こんな風に変化していきます。
フェーズ | 関係性の変化 |
---|---|
商品に共感する | 「これ、いいな」と思ってもらえる |
想いに共感する | 「応援したいな」と感じてもらえる |
価値観を共有する | 「誰かにも教えたい」と広げてくれる |
とくにOEFのような“エシカル×アウトレット”のモデルでは、「もったいないを減らす」価値観に共鳴する人たちが、自然とリピーターになってくれることが多いです。
そして、リピーターだけでなく、その人たちがSNSで紹介してくれたり、家族や友人に話してくれたり。いわゆる「ファン」となって、自発的に広めてくれる存在=ロイヤルカスタマーになっていくんです。
つまり、共感をベースに信頼を育むことで、ただの“1回の取引”では終わらない“関係”が生まれます。
それこそが、これからの卸売業や販売活動にとって、一番の資産になっていくのではないでしょうか。
エシカルやフードロスという少し難しく感じるテーマでも、ちゃんと伝える努力をすれば、
「それ、私も大事だと思ってた」と、手を伸ばしてくれる人が必ずいる。
その信頼の積み重ねが、次の未来をつくっていくのだと感じています。
卸売業者ができる“やさしい”啓発アプローチ

「教育」と聞くと、ちょっと構えてしまうかもしれません。でも、ここでの“消費者教育”は、かしこまった講義や説明ではなくて、やさしく、自然に気づいてもらう工夫のこと。伝えたいことがあるとき、ちょっと言葉を添えてみたり、目にとまる工夫をしたり――そんな“小さなアクション”が、心に残る大切なきっかけになるんです。
商品ページで伝える「背景」や「ストーリー」
ネット通販やECサイトでの販売が主流になっている今、商品ページは“伝える場”でもあります。ただ価格やスペックを並べるだけでなく、その商品の背景や想いをひと言添えるだけで、まったく違った印象を持ってもらえるんです。
たとえば、こんな風に書いてみるとどうでしょう?
✅「季節の終わりに行き場をなくしたギフトセット。まだまだ使える上質な品です」
✅「形が少し崩れただけ。味も品質もそのままのお菓子を、最後までおいしく楽しんでください」
✅「あと1ヶ月で賞味期限。でも、今日食べたら一番おいしいタイミングかもしれません」
こうした言葉は、消費者の“もったいない”気持ちとリンクし、共感を生みやすくなります。
また、写真にひとことメッセージを添えるだけでも、ずっと伝わりやすくなります。
商品ページで意識したいポイントはこちら。
工夫するポイント | 伝えるべき内容 |
---|---|
商品の状態 | なぜアウトレットなのか、どうして今販売しているのか |
生産者やブランドの想い | 作った人・売る人の視点で語るストーリー |
買うことで得られる価値 | フードロス削減への貢献、環境への配慮など |
ちょっとした言葉の選び方で、「安いから買う」から「想いに共感して買う」へと変わっていく。
それが、商品の“価値”を伝えるということなのだと思います。
POPやSNSで気軽に始める“エシカル発信”
対面販売をしている場合や、SNSを活用している方なら、POPや投稿でも気軽に“エシカルな想い”を伝えることができます。
たとえば、POPにはこんなコピーを添えてみてください。
✅「ちょっと不揃い。でも、とびきりおいしい理由があります」
✅「パッケージにキズ。でも中身はいつも通り、ちゃんと美味しい」
✅「食品ロスを減らす選択、ここから始めませんか?」
このようなメッセージを商品と一緒に届けることで、“買い物の選択肢”が“価値ある行動”へと変わります。
SNSでは、以下のような投稿内容がおすすめです。
- 商品の入荷エピソードやストーリー紹介
- フードロスに関するちょっとした豆知識
- 実際に買ったお客様の声や活用アイデア
- 「#エシカル消費」「#もったいないを減らそう」といった共感ハッシュタグの活用
とくに最近は、企業の発信に“やさしさ”や“誠実さ”を感じると、フォローして応援してくれる方が増えています。
だからこそ、「これ、伝えたいな」と思った瞬間に、気負わずに、やさしく発信してみることが何よりの第一歩です。
教育じゃなくて、対話のように。
説得じゃなくて、共有する気持ちで。
そんなやさしい発信が、消費者とのあたたかい信頼関係を少しずつ育てていくのだと思います。
食品ロス削減の実例とその効果

「食品ロスを減らすことは大事」――そう頭ではわかっていても、実際にどんな“いいこと”があるのか、具体的にイメージしにくいと感じる方もいるかもしれません。
でも、いま全国の現場では、ロス削減が「経済的な得」や「信頼の向上」に直結している事例が増えてきています。
ここでは、実際に見えてきた「目に見える効果」と「お客様との関係性の変化」をご紹介します。
ロス削減で得られる経済的・社会的インパクト
食品ロスの削減は、環境へのやさしさだけでなく、事業にとってのコスト削減や利益向上にもつながる取り組みです。
以下のようなポイントに注目してみましょう。
✅ 廃棄費用のカット
期限切れで廃棄される商品には、処分費や人件費、在庫管理コストがかかります。ロス削減でこうしたコストをまるごと抑えられます。
✅ キャッシュフローの改善
売れ残るはずだった在庫が現金化されることで、資金繰りがスムーズになります。「捨てる予定のモノが売上に変わる」というのは、まさに利益の再発見です。
✅ SDGsやエシカル意識への対応
社会的な信頼を得られるだけでなく、「この企業は応援したい」というファン層も育ちます。これは広告費では買えない、大きな財産になります。
以下は、よくある経済効果のイメージです。
項目 | 変化の例 |
---|---|
廃棄処理費 | 月5万円 → 月1万円に削減(年48万円のコストカット) |
在庫回転率 | 回転率1.8 → 2.5に改善(在庫効率の向上) |
売上構成 | 通常品90%/ロス品10% → 通常品80%/ロス品20%(新しい利益柱に) |
数字としてのインパクトもさることながら、「ちゃんと活かせた」という達成感や誇りが、スタッフのモチベーションにもつながっています。
実際にあった「共感が売上につながった事例」
ある地方の調味料メーカーさんは、贈答用パッケージの在庫が年度末に大量に余ってしまい、通常なら廃棄せざるを得ない状況でした。
ところが、商品の背景と共に「まだまだ使える立派な商品ですが、次の季節を迎えるために在庫を手放したい」とSNSで発信したところ――
✅ 投稿が地域のコミュニティで拡散
✅ 「それなら応援したい」と注文が殺到
✅ わずか2週間で、約8割の在庫が完売
さらに購入者からはこんな声も届いたそうです。
「味も品質も申し分なし。“救った”という気持ちもあって、なんだかうれしかった」
「こういう背景を知ると、商品に愛着がわく。次もぜひ買いたい」
つまり、「もったいない」×「共感」のストーリーは、“売れる理由”にもなるのです。
この事例のように、商品自体を変えずとも、伝え方や見せ方ひとつで、商品価値は大きく変わることがあります。
そして、その変化は売上だけでなく、企業の信頼やブランド力として、しっかり積み上がっていくのです。
食品ロス削減は、“負担”ではなく“選ばれる理由”に。
そんな新しい価値の循環が、今まさに、全国で始まっています。
エシカル販路という新しい選択肢

「まだ使えるのに…」「品質には問題ないのに…」そんな在庫を目の前に、やるせない思いをしたことはありませんか?
食品や日用品を扱う卸売業者さんにとって、“在庫”は常に付きまとうテーマ。でも、その在庫にもう一度命を吹き込む販路があったら――。
そんな声に応えるように生まれたのが、OEFという仕組みです。
卸売業者の声から生まれたOEFの仕組みとは?
OEFは、Outlet(アウトレット)・Ecology(環境配慮)・Foodloss(食品ロス削減)の3つを軸にした、エシカルなECプラットフォームです。
でも、ただの“安売りサイト”ではありません。
「出品者が安心して出せる」「買う人も意味のある選択ができる」という、ちょっと特別な設計になっているのが特徴です。
特に、卸売業者の皆さんにとって心強いポイントがこちら。
✅ 価格は公開、でも購入は“会員限定”
誰でも商品情報は見られますが、購入できるのはOEFのサブスク会員だけ。
つまり、市場価格に影響を与えにくい“クローズド・バイイングモデル”です。
✅ 出品手数料は無料。売れたときだけ10%
固定費リスクが少なく、少量・短期出品もOK。
余剰在庫を柔軟に活かすことができます。
✅ 出品者自身が発送する“シンプル物流”
自社発送なので、無理なく対応可能。小ロット・不定期でも出品できる仕組みです。
こうした設計は、実際に在庫問題に悩んできた現場の声をもとに作られました。
だからこそ、「これならうちでも出せそう」というリアルな安心感につながっているのです。
OEFで実現する「共感・信頼・利益」の三方良し
OEFが目指すのは、売る人・買う人・社会の三方が気持ちよくつながる「エシカル販路」。
具体的には、次のような“いい循環”が生まれています。
誰にとって? | 得られるもの |
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出品者(卸売業者) | 廃棄回避、在庫現金化、ブランド価値維持 |
購入者(会員) | お得な買い物、社会貢献への実感、共感のある選択 |
社会・環境 | フードロス削減、持続可能な消費の拡大 |
たとえば、ある調味料メーカーでは、毎年一定数出てしまうギフト用在庫の“行き場”がOEFによって確保できるようになり、年間50万円以上の廃棄コストを削減。
その一方で、「エシカルな買い物をしたくて登録しました」という会員が増え、商品の認知やリピートにもつながったそうです。
このように、OEFはただ在庫を“売る”だけではなく、“想い”ごと伝えて、選ばれる場でもあるのです。
エシカル販路という選択は、もう一つの出口ではなく、新しいスタート。
“もったいない”という気持ちから、“ありがたい”という感謝へと変わる――
そんな未来を、一緒に築いていけたらと願っています。