谷澤まさみ
谷澤まさみ

春物ジャケットが売れ残った…そんなとき、値下げ以外に取れる選択肢があるとしたら?在庫を守りながら、ブランドも活かせる方法をやさしく解説します。目次を見て必要なところから読んでみてください。

春物ジャケットが売れ残ったとき、まず考えるべきこと

「春物の在庫が残ってしまった」。そんな悩みは、アパレルの現場ではけっして珍しいことではありません。特に気候が読みにくくなった近年、売れ行きの見通しが立てにくくなっていますよね。でも、売れ残り=失敗ではありません。大切なのは、その先にどんな一手を打つか。ここでは、在庫の抱え込みを防ぎながら、ブランド価値を守るために知っておきたいことを一緒に考えていきましょう。

保管コストと廃棄リスクの現実

在庫を「とりあえず倉庫に保管しておこう」と考えたくなる気持ち、よくわかります。ですが、保管にもコストがかかるということ、見落としてはいけません。

たとえば、1着あたり100円の保管費がかかるとして、1000着の春ジャケットが2ヶ月残れば、それだけで20万円のコストになります。
さらに問題なのは、季節が過ぎた商品は売れにくくなるということ。夏が始まるころには、春物を求めるお客様はもういません。そうなると、在庫は“売れる商品”ではなく、“廃棄候補”に近づいてしまいます。

表:春物在庫の保管によるコストイメージ(例)

在庫数保管期間月額コスト(目安)合計コスト(2ヶ月)
1,000着2ヶ月100円/着200,000円

※上記は目安です。実際の倉庫費用は立地・サイズなどにより異なります。

コストだけでなく、「売れ残った在庫を見るたびに、気持ちが沈んでしまう」という心理的な負担も、実は小さくありません。

だからこそ、在庫の“その後”については早めに考えることが大切なんです。

なぜ「セール」だけでは解決しないのか?

「在庫を減らすなら、とりあえずセールすればいいんじゃない?」と思う方も多いかもしれません。たしかにセールは即効性がありますし、一定数は売れるでしょう。でも、それだけで本当に十分でしょうか?

セールには、次のような落とし穴もあります。

値下げが常態化すると、ブランドの信頼感が薄れる
「このブランドはすぐ安くなるから、定価で買うのは損」と思われてしまうと、今後の販売にも影響してしまいます。

一部のアイテムが売れ残ると、より“売れ残り感”が際立つ
売れ筋だけが減り、残ったものの価値がさらに下がってしまうことも。

セールだけでは在庫一掃には至らない
数十%オフにしても動かないアイテムは、結局、処分されてしまう可能性が高いのです。

こうしたことからも、セールはあくまで一時的な手段。在庫問題の“根本解決”にはならないんです。

今の時代、「安くする」以外にも、“どう届けるか”の工夫が必要になってきています。たとえば、「必要としている誰かに、気持ちよく届く形」で提案することができたら…在庫はただの“売れ残り”ではなく、価値のある選択肢として再び命を吹き込まれるかもしれません。

このあと、そのためのアイデアをいくつかご紹介していきますね。

アパレル在庫を減らすための5つの現実解

谷澤まさみ
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売れ残った在庫を「なんとかしなきゃ」と思ったとき、大切なのは“現実的で実行しやすい選択肢”をいくつ持っているかです。どんなに素敵なアイデアでも、実行に移せなければ意味がありませんよね。ここでは、私自身も「これなら動けそう」と思える、5つの現実解をご紹介します。ひとつでも、あなたのヒントになりますように。

ECでのタイムセール活用術

タイムセールは、在庫を動かすスピードを一気に上げてくれる手段のひとつ。特にECでは、時間を区切って「今だけ価格」を打ち出すことで、購買の背中を押す効果があります。

ただし、ただ「安くする」だけではダメ。“限定感”と“ストーリー”があるかどうかが鍵になります。

✅「季節の終わりに、ありがとうセール」
✅「倉庫整理前の感謝祭」

そんな風に、お客様が共感できる理由を添えてあげると、「買う側」も気持ちよく選べる空気が生まれます。

他ブランドとのコラボセット販売

意外と見落とされがちですが、他ブランドとのコラボは在庫削減にとても効果的です。
たとえば、春ジャケット+雑貨ブランドのエコバッグのセット。アイテムの相性が良ければ、単体では動かなかった商品が、“新しい価値”を持って生まれ変わります

ポイントは「お得感+限定感」。
コラボならではの組み合わせをつくることで、“選ばれる理由”が生まれるんです

店頭から倉庫へ送る「逆配送」のコスト分析

店舗に残った在庫を倉庫に戻す。いわゆる「逆配送」は、在庫整理の手段としてよく使われますが、ここには見えにくいコストがたくさんあります。

たとえば…

項目コストの例(目安)
配送手数料400~800円/箱
倉庫内ピッキング200円~/件
保管料(1ヶ月)50~150円/着

この表からもわかるように、「戻すだけ」で1着あたり数百円のコストがかかることも。
在庫の数が多いほど、その負担はじわじわと効いてきます。“置いておく”にもお金がかかるという現実を、いま一度見直してみることが大切です。

廃棄せず再販する「再パッケージ戦略」

どうしても売れ残ってしまった在庫。でも、少し見せ方を変えるだけで、新たな命を吹き込むこともできます。

✅サイズ・カラー展開を絞って「限定復刻版」として再販
✅スタイリング提案を加えた「着回しセット」で販売
✅テーマを設けた「季節のまとめ買いキャンペーン」

つまり、“売れなかった理由”を見直して、売り方を変える。これだけで、動き出す在庫はたくさんあります。

再パッケージは、小さなコストで大きな再価値化ができる戦略。廃棄を選ぶ前に、ぜひ一度検討してみてください。

エシカルECでのアウトレット展開という選択肢

最後にご紹介したいのが、「エシカルEC」への出品です。
アウトレット価格で販売することで在庫を減らせるだけでなく、「廃棄を減らしたい」という想いに共感してくれる購入者とつながれるのが大きな特徴です。

さらに、“誰でも見られるけれど、買えるのは選ばれた会員だけ”という仕組みを採用しているECなら、価格公開によるブランド毀損の心配もありません。

「値下げしたくないけれど、捨てたくもない」
そんな葛藤を抱えたアパレルブランドにとって、安心して在庫を活かせる販路になるはずです。

在庫は、まだ価値のある資源です。
どう活かすかを考えることは、ブランドの未来を守ることにもつながります。

ブランド価値を守りながら在庫を売るコツ

谷澤まさみ
谷澤まさみ

在庫を減らすために「価格を下げる」という選択をするとき、頭によぎるのが「ブランドの価値を下げてしまわないか?」という不安。とくにアパレルブランドにとって、“イメージ”は信頼と同じくらい大切な資産です。ここでは、ブランドを守りながらも、在庫をしっかり動かすためのコツを、いくつかの視点からお伝えします。

セールとブランド毀損の境界線

セール自体が悪いわけではありません。むしろ上手に活用すれば、ファンとの接点を増やすチャンスにもなります。ただ、「どう見せるか」がすべてです。

✅ 常に何かが値下がりしているように見えると、「定価では買う意味がない」と思われてしまう
✅ 大幅な値下げが目立つと、商品そのものの価値が下がったように感じられる
✅ ブランドの世界観と合わない安売り表現は、顧客の心を離れさせる要因にもなる

だからこそ、「いつ」「誰に」「どんな表現で」届けるかを丁寧に設計することが、セールとブランド毀損を分ける大きな分かれ道になります。

「買ってくれてありがとう」という気持ちを込めたファミリーセールや、会員限定の季節の感謝企画など、“理由あるセール”にすることで、ブランドの信頼感はむしろ高まることもあるのです。

「買えるのは一部の人だけ」がもたらす安心感

在庫処分に対するブランド側の懸念のひとつに、「一般市場で安く売ると、定価購入者との関係が気まずくなる」という問題がありますよね。たしかに、誰でも簡単に手に入れられる場所で大幅値引きされていると、これまでの購入体験の価値が揺らいでしまうことも。

そんなとき有効なのが、「限定された会員にだけ販売する」という仕組みです。

✅ 特別な条件のある購入体験には、「選ばれた感」が生まれやすい
✅ “知る人ぞ知る”場所での販売は、ブランド価値を傷つけない
✅ 一般市場とは切り離されていることで、流通価格を崩さずに済む

このような「クローズド感のある売り場設計」が、安心して在庫を売るための土台になります。

クローズド・バイイングモデルとは?

「クローズド・バイイングモデル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、価格は公開していても、実際に購入できるのは“会員”などの限られた人だけという販売の仕組みを指します。

このモデルのすごいところは、オープンな透明性と、限定性のバランスがとれていること。

✅ 一般ユーザーには「この商品があるんだ」と認知してもらえる
✅ でも、実際に購入できるのはクローズドなコミュニティ内のみ
✅ そのため、市場価格の維持や、取引先への配慮も可能になる

たとえば、エシカルな消費を推進するECサイトでは、このモデルを採用して、サステナブルかつスマートに在庫を動かす工夫がされています。

このように、「売る」ことと「守る」ことを両立できる設計があれば、在庫を抱えて悩む必要はありません。
そして、それはただモノを売るだけではなく、ブランドとしての“誠実さ”を伝える機会にもなるのです。

最後の一手——“選ばれた人だけに売る”という新戦略

谷澤まさみ
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値下げもセールもやった。でも在庫がまだ動かない。そんなときにこそ、発想を180度切り替えてみてほしいんです。在庫を「余ったもの」として捉えるのではなく、「選ばれた人にしか届かない特別な商品」と位置づける。そこから生まれるのが、“選ばれた人だけに売る”という新しい在庫戦略です。

限定販売で在庫を資産に変える方法

たとえば、こんなケースを想像してみてください。

春物ジャケットが300着残ってしまった。でもそれを「メルマガ会員限定のシークレットオファー」として紹介したところ、たった3日で完売。しかも、「安くなってるから」ではなく、「今だけ、自分だけが買える特別な商品」として選ばれたから、という理由で。

これは空想の話ではありません。売れ残りではなく“選ばれ待ち”の商品として再定義するだけで、在庫は資産に変わることがあるんです。

限定販売には、こんなメリットがあります。

✅ 「今だけ感」が購買の背中を押す
✅ 「自分だけが知っている」という体験がファン化を促す
✅ 通常販売では届かない層に、新たな価値提案ができる

売れ残ったからこそ、その数の限られた商品が持つ“希少性”が際立つのです。

廃棄コストゼロ、むしろ利益に変える導線とは?

そしてもうひとつ。在庫を「処分すべき負債」ではなく、「活かせる資産」に変える最大のカギ。それが、“会員限定型”のエシカルECへの導線です。

このモデルでは…

✅ 商品ページは誰でも見られるけれど、購入できるのは会員だけ
✅ ブランドイメージは守られつつ、価格も納得感のある範囲で販売可能
✅ 廃棄ゼロで、むしろ利益につながる仕組みができる

ここでは「安さ」ではなく「共感」で選ばれるという新しい売り方が主軸になります。
「もったいないと思ったあなたに届けたい」
「この服が、もう一度選ばれる瞬間をつくりたい」

そんなストーリーとともに商品が届くことで、お客様との間にあたたかい接点が生まれるんです。

廃棄にかかる数十万円をゼロにして、その分を“選ばれた人との関係づくり”に変える。これこそが、今の時代にふさわしい“最後の一手”なのかもしれません。

OEFという選択|ブランドを守りながら在庫を活かす販路

谷澤まさみ
谷澤まさみ

これまでお伝えしてきたように、在庫を「ただ処分する」のではなく、価値を守りながら活かすためには、“どこで・誰に・どう売るか”の設計がとても重要になります。その中で、私が本当におすすめしたいのがOEFというエシカルECの選択肢です。ただのアウトレット販売ではありません。ブランド価値を守りながら、在庫が社会貢献につながる。そんな新しい販路が、今注目されています。

購入はサブスク会員限定、だから価格が見えても安心

OEFでは、商品情報や価格は誰でも見られるようにオープンにされています。でも、実際に購入できるのはサブスクリプション登録をしている会員だけ。この“オープン&クローズド”のバランスが、ブランド側にも購入者にも大きな安心を生んでいます。

✅ 価格は見えるから、「不当な割引をしている」と誤解されない
✅ 購入は限定されているので、市場価格を守りやすい
✅ 会員向け販売のため、安売り感より“選ばれた感”が伝わる

つまり、「安く売る」ではなく「必要としている人に、適正に届ける」というスタンスなんです。だからこそ、ブランドも安心して参加できますし、値下げによるブランド毀損の心配がないのです。

実際のアパレル出品事例と売上の変化

実際にOEFを利用しているアパレルブランドの事例では、売れ残りとなっていた春物アイテム(参考価格13,000円)が、サブスク会員向けに約40%オフで出品された結果、わずか1週間で完売。しかも、レビューには「定価では手が出なかったけど、品質はすばらしい」「エシカルな買い物ができて嬉しい」といった声が並び、ブランドの評価はむしろ上がったというお話も。

さらに、会員制という安心設計の中で継続的に在庫出品を行うことで、リピーターが増え、季節ごとの在庫調整も計画的に進められるようになったという声も届いています。

OEFという選択は、単なる在庫処分ではありません。それは、ブランドと社会、そしてお客様が“心地よくつながる”新しい循環です。
「もう売れない」ではなく、「まだ活かせる」。そんなやさしい視点を持った在庫活用が、これからのアパレル業界を変えていくのかもしれません。

👉 ブランドを傷つけずにアウトレット販売を行う方法を知る

✅ 在庫処分に悩んでいる
✅ ECに出したけど広告費ばかりかかる
✅ ブランド価値を守りながら売りたい
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初期費用を抑えて、今ある在庫を新しい売上に。