谷澤まさみ
谷澤まさみ

卸売業が新しい販路や顧客層を開拓するカギは、価格ではなく「共感」でした。
エシカル消費を軸にした販路再設計のヒントを、事例とともに紹介します。
目次を見て必要なところから読んでみてください。

これからの卸売業に求められる「価値観の共感」

単なる価格競争では通用しない時代に

卸売業と聞くと、どうしても「安く仕入れて、早く売る」ことが最優先…そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。でも今、時代は少しずつ変わり始めています。

私たち消費者が商品を選ぶとき、「どこよりも安いから」だけでは、もう十分な理由にならなくなってきているんです。特に最近は、エシカル消費サステナブルな選択に敏感な方が増え、「その商品がどこから来て、どんな思いで作られたのか?」にまで関心を持つ人がとても多くなってきました。

たとえば、同じ野菜でも「地元で採れたもの」や「フードロス対策の一環で出されたもの」と聞くと、なんだか温かみを感じて手に取りたくなりませんか?

これからの卸売業に必要なのは、ただの“安さ”ではなく“意味ある選択肢”を提供すること。価格だけで勝負する時代は、少しずつ終わりに向かっているのかもしれません。

「誰に売るか」より「なぜ売るか」が問われている

売れる商品を探すことに一生懸命になっていた頃、私もよく「この商品、どんな人にウケるかな?」とターゲットばかりに意識を向けていました。でも、今は違います。

それよりもずっと大切なのは、「なぜ私たちはこの商品を届けたいのか?」という想いの部分。つまり、「売る理由」に共感してもらうことで、自然と「買いたい」と思ってもらえるようになるんです。

たとえば、廃棄寸前だったけれど、まだ十分においしくて安心な食品。これを「特売品」として売るよりも、「もったいないを救う買い物」として紹介するほうが、共感してくれる人が増えるのは不思議なことではありません。

そしてこの「共感」が、結果として新しい顧客層との出会いにつながっていくのです。

価値ある商品 × 納得できる理由
この組み合わせが揃ったとき、価格以上の魅力を感じてくれる方が現れます。

これからの卸売業は、「誰に売るか?」だけでなく、「なぜ売るのか?」を見つめ直すタイミングに来ているのだと思います。
その想いを込めて届けることで、単なる取引を超えた、信頼ある関係性が少しずつ育っていくはずです。

エシカル消費が生み出す“新しい顧客層”とは?

谷澤まさみ
谷澤まさみ

エシカル消費――それは、「モノの背景を想って選ぶ」という、ちょっとやさしい買い物のしかたです。
この価値観が少しずつ広がってきたことで、これまでとは違った新しい購買層が動き始めています。
今までなら届かなかった人たちにも、「この商品なら、買ってみたい」「応援したい」と思ってもらえる。
卸売業にとっても、まったく新しい市場が開けるチャンスなんです。

サステナブル志向のZ世代・ミレニアル層

まず注目したいのが、10代後半から30代前半のZ世代・ミレニアル世代
この世代は、生まれたときからSNSが身近にあり、社会課題にも敏感です。

「環境に配慮している商品」や「フードロス削減に貢献できる買い物」は、
ただの“節約”ではなく、自分らしさを表現する行動になっています。

✅ SNSで「#エシカル購入」「#フードロス削減」などのタグが増えているのもその証拠です。

彼らにとって大事なのは、安いかどうかより、共感できるかどうか
どこで、どう作られて、なぜこの価格なのか。
ストーリーがある商品に惹かれるのが、この世代の特徴です。

「お得でエコ」を求めるママ世代

子育て中のママたちも、エシカル消費に強い関心を持つ層です。
とくに食品や日用品など、家族のために日々たくさんの選択をする中で、安心・安全・節約・環境への配慮というバランスを考えながら買い物をしています。

たとえば、「賞味期限が近いけれど、品質は問題なし」「少しパッケージに傷があるだけで中身は同じ」
そんな商品が「お得で、しかもムダを減らせる」と知ったら、自然と手が伸びるはずです。

✅ 「安いだけじゃない。ちゃんと理由がある安さ」は、ママたちの信頼を得やすいポイントです。

彼女たちは家計の味方であると同時に、子どもたちの未来を考える生活者でもあります。
エシカルな商品選びは、その延長線にあるあたたかい行動なんです。

地域を支えたいローカル思考のシニア層

最後に忘れてはいけないのが、地域とのつながりを大切にするシニア層です。
この層は、地元の生産者や昔ながらのお店を応援したいという思いを強く持っています。

また、「もったいない」への感覚も若い世代以上に鋭く、
フードロスや在庫廃棄の話には強く共感しやすい特徴があります。

✅ 「地元の特産品」「地域産のレスキュー食品」などは、まさに心に刺さる商品になります。

さらに、ネットでの買い物にも少しずつ慣れてきた今、信頼できるストーリーがある商品には進んでチャレンジしてくれる方も増えています。


こうして見てみると、エシカル消費という小さな選択が、
Z世代からシニア層まで、世代を越えた新しい顧客層を呼び込む鍵になっていることがわかります。

大切なのは、その人たちに「この商品には意味がある」と伝えること。
ただ売るのではなく、共感という“想いの橋”をかけることが、これからの卸売業には求められているのかもしれません。

卸売業がこの層とつながるための販路の再設計

谷澤まさみ
谷澤まさみ

これまでの卸売業は、「たくさん仕入れて、まとめて売る」のが基本でした。
でも今、求められているのは“大量販売”ではなく、“誰に、どう届けるか”の設計力です。
エシカル消費に関心を持つ新しい顧客層とつながるためには、単に販路を広げるのではなく、販路の“質”を変えることが求められているのだと思います。

ブランド価値を守る“クローズド販売”の重要性

エシカルな商品でも、値引き販売をすると「ブランド価値が下がるのでは?」と不安に思う方も多いですよね。
実際、卸売業の現場では「安売りすると取引先に説明がつかない」という声もよく聞きます。

そこで注目されているのが、“クローズド販売”という販路のかたちです。
これは、価格はオープンに見せつつ、実際の購入は会員など限定された人だけに提供する仕組み

✅ このモデルには、こんなメリットがあります:

項目クローズド販売のメリット
ブランド保護不特定多数には売られないため、安売り感が出にくい
市場価格維持通常の流通価格とバッティングしづらい
新規販路開拓エシカル層など特定ニーズに特化した顧客と出会える

この方式なら、卸業者も安心して「お得なエシカル商品」を提供できますし、
消費者にとっても「選ばれた場でしか買えない」という特別な体験になります。

ストーリーと背景で差別化する「エシカル文脈」

どんなに良い商品でも、「安くします」とだけ言われても、それだけでは心は動きません。
今の消費者は、その商品がどんな物語を持っているかに心を動かされるのです。

たとえば、

✅「賞味期限まであと5日。でも、まだまだ美味しいラスク」
✅「規格外で形が不ぞろい。でも、地元の農家さんが愛情込めて作った野菜」

こうしたストーリーがあると、その商品にあたたかさや“買う理由”が生まれます。
これはまさに、「エシカル文脈」と呼ばれる価値観の世界です。

売る側としては、背景や想いをきちんと伝えること自体が“販路の設計”になる時代なんです。

BtoBから“共感BtoC”へのシフトが鍵

これまでの卸売業は、基本的にBtoB(企業間取引)が中心でした。
でも、これからはBtoC――それも、“共感”に基づいたBtoCへのシフトがカギになります。

つまり、「企業としての強み」だけでなく、「この商品が誰のどんな思いで生まれたのか」を含めて、生活者にじかに届けていく設計が求められているのです。

特にOEFのようなエシカルECでは、卸売業者が直接ストーリーを語れる場所が用意されています。
そこでは、商品を通じて共感が生まれ、“応援消費”という新しい購買行動が広がっています。


販路を広げるだけでは届かない時代。
これからの卸売業は、「どこで売るか?」ではなく「どう伝えるか? 誰とつながるか?」が問われています。

エシカル消費の文脈で共感を生み出すことが、新しい販路を育てる第一歩になるはずです。

成功している卸企業の取り組み事例

谷澤まさみ
谷澤まさみ

「エシカル消費に取り組みたいけど、実際に効果はあるの?」
そんな不安を感じている卸業の方にこそ、ぜひ知っていただきたいのが、実際に成果を上げている事例です。
今回は、エシカルという価値観をうまく取り入れて、新しい顧客層や販路を開拓した卸企業の取り組みを3つご紹介します。

「期限間近の商品をエシカルで再生」

ある食品卸の会社では、賞味期限が迫った在庫を「訳あり商品」として値下げするだけではなく、“まだおいしく食べられる”という事実を丁寧に伝えることに力を入れました。

たとえば、
✅ SNSや商品ページで「製造から●ヶ月、保存状態は良好」などの具体的な説明
✅ 「食品ロスを減らしたいあなたへ」と、エシカルな選択肢としての位置づけ

こうした発信を続けたことで、単なる“処分品”ではなく、「思いやりのある買い物」として受け取られるようになりました。

結果、短期間で売れ残りが激減し、「在庫を捨てずに売上に変える」新たなモデルが定着したそうです。

「地域資源×エシカル」でSNSファンを獲得

別の事例では、地方の食品卸企業が地元の農産物や加工品をエシカルな文脈で紹介し、SNSで大きな反響を得ました。

たとえば、
✅ 「曲がったにんじん」や「サイズ不ぞろいの果物」を“もったいない”BOXとして販売
✅ 地元生産者の写真やコメントを添えて、背景ごと届けるスタイルに

こうした“顔の見える卸”スタイルは、都市部の消費者にとって非常に新鮮な体験となり、InstagramやX(旧Twitter)で拡散。
フォロワーが急増し、「買いたいからフォローする」という状態が生まれました。

今ではそのSNS経由で新規取引の問い合わせも増え、卸の枠を超えた販路が広がっているとのことです。

「余剰在庫ゼロ」に近づいた仕組み作り

ある日用品の卸企業では、定番商品の“売れ残りリスク”を減らすため、OEFのようなクローズド販売プラットフォームを活用しました。

その企業が行ったのは次の3ステップ:

ステップ内容
① 在庫予測の見直し余剰在庫を可視化し、リアルタイムで把握できる体制を構築
② OEFへの分散出品販売チャネルを複数化し、廃棄前に販路に流す仕組み
③ 購買データの活用会員層の購買傾向を分析し、次回仕入れに反映

結果として、「廃棄コストゼロ」を目指すサイクルが社内に根づき、“捨てずに回す”卸ビジネスのモデルが出来上がりつつあります。


これらの事例からわかるのは、“売れない”を“意味のある売上”に変える発想が、エシカル消費の中ではしっかりと評価されるということ。

「まだ使える」「まだ食べられる」ものをムダにしない。
そのやさしい選択が、企業の信頼や収益にもちゃんとつながっているんです。

そして今、こうした取り組みができる卸企業こそが、
新しい時代に選ばれる存在になっていくのかもしれません。

OEFという販路が選ばれる理由

谷澤まさみ
谷澤まさみ

エシカル消費という新しい価値観が広がるなかで、どのような販路を選ぶかは、卸売業にとってますます重要なテーマになっています。
その中で、多くの卸企業が注目しているのが OEF(アウトレット・エコロジー・フードロス)という販路です。
「値崩れせずに売れるの?」「ブランドは守れるの?」
そんな声にもしっかり応えてくれるのが、OEFの仕組みなんです。

価格表示はオープン、購買行動は会員限定

OEFの最大の特徴は、価格は誰でも見られるけれど、実際に購入できるのはサブスクリプション会員だけという「クローズド・バイイングモデル」を採用していること。

✅ これにより得られる安心ポイントは次の通りです:

要素メリット
価格の透明性商品の価値を正しく伝えることができる
購買の限定性不特定多数の買い叩きではなく、選ばれた層への販売
セール感の抑制「アウトレット=安売り」のイメージを払拭できる

つまり、誰でも見えるけど、誰でも買えるわけではない
だからこそ、価格を見せても市場への影響は最小限に抑えられるのです。

この仕組みは、「ブランド価値を守りながら在庫を活かしたい」と考える卸企業にとって、大きな魅力です。

売上創出とブランド保護を両立する設計

「安く売る=ブランドが崩れる」という悩みは、卸売業ではとても多いですよね。
でも、OEFではその心配がほとんどありません。

なぜなら、“売る相手”が限定されていることで、取引先や小売店との価格バランスを壊さずに済むからです。

また、OEFでは「安くてラッキー!」というだけの打ち出しではなく、
捨てるには惜しい商品を、必要とする人へつなぐ」という背景を丁寧に伝えています。

その結果、単なる値下げ商品ではなく、「エシカルな選択肢」として価値が再定義されるのです。

卸業者にとっては、
✅ 売上につながる
✅ 廃棄コストが削減できる
✅ ブランドへの信頼はそのまま

この三方よしの仕組みが、大きな支持を集めています。

エシカル消費に関心のある購買層と自然につながる

OEFを通じてつながれるのは、「安いから買う」だけの層ではありません。
そこに集まっているのは、「自分の選択が社会を変える」と信じている人たちです。

たとえば、

✅ フードロス削減に関心のある若い世代
✅ 環境や子どもたちの未来を考えて買い物するママ世代
✅ 地域とのつながりを大切にする高齢者層

こうした層と自然につながれるのは、エシカルな背景を持つ商品を扱う卸企業にとって非常に相性が良いのです。

特にOEFでは、商品のストーリーや背景を丁寧に伝える仕組みが整っており、
「誰が、なぜこの商品を買うのか?」が明確になります。


OEFは、ただのECサイトではありません。
価値観を共有する人たちとつながる“場所”であり、“新しい市場”でもあるのです。

これからの卸売業が求められるのは、ただ売るだけではなく、
「共感でつながる販路」を持つこと
OEFは、その第一歩として、確かな選択肢になってくれるはずです。

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