谷澤まさみ
谷澤まさみ

食品業界の「もったいない」を価値に変えるには?サーキュラーエコノミーの考え方と、卸売業者が現場で実践できる具体策をまとめました。目次を見て必要なところから読んでみてください。

サーキュラーエコノミーが食品業界に求められる理由

食べものが、ただ捨てられてしまう世の中に、私たちは本当に慣れてしまっていいのでしょうか?
近年、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」という考え方が、食品業界の中でも注目を集めるようになってきました。
それは単なるトレンドではなく、「ものを最後まで活かしきる」という、とても人間的でやさしい発想の見直しなのだと思います。

食品流通の現場でも、廃棄ありきの“使い捨てモデル”から、循環を前提とした仕組みへの転換が求められています。
この章では、なぜ今「循環」が大切なのか、一緒に考えてみましょう。

リニア型から循環型へ、変わる食品流通の価値観

これまでの食品流通は、「作って、売って、売れ残ったら捨てる」というリニア(直線)型モデルが主流でした。
大量に生産し、大量に並べ、期限が過ぎれば廃棄される。スーパーの棚がいつも美しく満たされている裏には、そんな現実があります。

でも最近は、この考え方が少しずつ変わってきました。
限りある資源をどう活かすか。「売れなかったら捨てる」のではなく、「活かせる場所を探す」という循環の考え方へシフトしようという動きです。

✅ この変化を支えているのが、「もったいない」と感じる私たち一人ひとりの感覚です。

たとえば、少しだけ期限が迫っている食品や、見た目にちょっと難がある商品でも、「まだ食べられるなら活用したい」というニーズが高まっています。
こうした気づきが、食品流通の構造そのものを変え始めているのです。

脱・廃棄時代。なぜ「売れ残り=廃棄」はもう通用しないのか

食品業界において、「売れ残った商品は、仕方ないから捨てる」という考え方は、もはや時代遅れになりつつあります。
なぜなら、それがコスト的にも、社会的にも、大きな損失になると、多くの事業者が気づき始めているからです。

まず、廃棄にはお金がかかります。
とくにBtoBの卸売業者さんにとっては、在庫を抱えるだけで保管費用や処分費用がのしかかります。

そしてもう一つ見逃せないのが、「フードロスによる企業イメージへの影響」です。
最近ではサステナビリティに敏感な消費者が増えており、廃棄の多い企業はブランド価値を問われることも。

✅ 売れ残りをうまく流通させる仕組みを持っているかどうかが、企業の評価軸になってきているのです。

だからこそ、「廃棄=当たり前」ではなく、「別の出口をつくる」という発想に切り替える必要があるのです。

食品ロスと気候変動の因果関係を再確認する

もうひとつ、私たちが見落としがちなのが、食品ロスと環境問題のつながりです。

食品を生産し、加工し、輸送し、保管し、廃棄するまでには、たくさんのエネルギーと資源が使われています。
それが無駄になるということは、二酸化炭素(CO₂)の排出も、ムダに増えているということ。

国連の報告では、世界の温室効果ガスの約8〜10%が食品ロスに関連しているともいわれています。
つまり、食品を捨てないということは、気候変動対策にも直結する行動なのです。

✅ 地球環境と、自分たちの暮らしがつながっていることを、あらためて実感します。

だからこそ、食品業界の中で循環型の流通モデルを実現することは、「企業の責任」であると同時に、「未来への選択肢」としても、とても大切な意味を持っているのだと思います。

卸売業者が抱える「売れ残り」問題のリアル

谷澤まさみ
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食品流通の最前線にいる卸売業者さんにとって、「売れ残り」は日常の中に潜む重たい課題です。
期限が迫ってくる商品、予測より多く残ってしまったロット、流通先の都合で止まった在庫。
どれも「もったいない」で済ませられない、お金と信頼に直結する問題です。
ここでは、そんな卸売の現場で起きている“静かな危機”について、一緒に見つめてみたいと思います。

見切り品でも売れない——価格競争の限界

在庫が残ってしまったとき、多くの事業者さんがまず考えるのが「値下げしてでも売り切ろう」という選択です。
いわゆる見切り品として、市場に安く出してしまう。

でも、実際はそれでも売れないことがあるのです。

✅ なぜなら、「安いから買う」時代は、もう終わりに近づいているから。

価格だけで勝負しても、すでに安価なPB商品や大量仕入れを前提としたチェーンが市場を押さえています。
卸売業者さんが少量・短期で値下げしても、そもそも競争の土俵が違うのです。

しかも、値下げ販売を繰り返すと、
「安売り業者」のイメージがついてしまう
通常価格での商談が難しくなる
というような、中長期的なブランド毀損のリスクにもつながります。

「値段を下げても売れない」この壁に、今、多くの卸業者さんがぶつかっているのです。

販路不足がブランドリスクと在庫ロスを招く構造

もうひとつ深刻なのが、「売る場所がない」という問題。
いくら在庫があっても、それをさばける販路がなければ、すべてが“止まって”しまいます。

特に困難なのが、以下のようなケースです。

在庫の種類なぜ販路が限られるのか
期限が迫っている商品通常流通にのせるには時間が足りない
パッケージ変更・季節品既存取引先では販売タイミングが合わない
少量ロット・バラ商品大手チェーンには扱ってもらえない

※このような在庫は「品質に問題がない」のに、“宙ぶらりん”になりやすいのが特徴です。

そして販路が限られると、結果的に
廃棄を選ばざるを得ない
強引な値引き販売に追い込まれる
という状況を生みます。

それが積み重なると、「あそこの商品は余る=価値がない」という誤ったブランドイメージに発展する危険もあります。
こうした負のスパイラルを断ち切るには、在庫の“出口”を増やすことが必要です。

「廃棄するしかない」から脱却するために必要な視点

廃棄を「最後の選択肢」として当然視する業界の空気。
でも、本当に「それしかない」のでしょうか?

ここで必要なのは、「在庫=不要なもの」という見方を変えることです。

✅ まだ使える・食べられる・価値がある——そう考えるだけで、商品に別の出口が見えてきます。

そのためには、次のような視点を持つことが大切です。

  • 「誰に」売るかを変えてみる
    一般流通では売れない商品でも、「エシカル消費」を意識する層にはニーズがあるかもしれません。
  • 「どう伝えるか」を工夫する
    「在庫」ではなく、「おトクなタイミング」「資源を活かす選択肢」として見せる言葉の力も必要です。
  • 「どこで」販売するかを見直す
    通常の市場ではなく、クローズドな流通や限定販売の場であれば、価格やブランド価値も守りながら売ることが可能です。

今ある価値を見つめなおし、「捨てる前に、届けられる場所はないか?」と問い直す。
その視点こそが、これからの食品卸業にとって、もっとも重要なスタート地点になるのではないでしょうか。

食品流通におけるサーキュラー実践の3つのアプローチ

谷澤まさみ
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サーキュラーエコノミーを“理想”で終わらせず、現場でしっかり回すには、「やり方」がとても大事です。
ここでは、食品卸売業者さんが実際に動き出せる3つの現実的なアプローチを紹介します。
すべての在庫には“次の活かし方”があります。
ちょっとした視点の転換と、伝え方の工夫が、新しい販路とチャンスをひらくのです。

1. 商品価値を再編集する「用途提案型」再販

「賞味期限が近い」「季節を外れた」などの理由で余ってしまった食品。
でも、その商品に“新しい役割”を与えることができれば、まだまだ活躍の場はあります。

たとえば——

✅ パン用だった小麦粉を「お好み焼き粉」として売り出す
✅ 夏向けの冷製スープを「冬の温活スープ」に再提案する
✅ クッキーのB品を「手作りスイーツ用素材」として打ち出す

このように、「どう使ってほしいか?」という視点で商品を再編集するだけで、“在庫”が“商品”として再生されます。

ポイントは、「売り切る」ではなく「使い切ってもらう」ための提案を添えること。
これにより、消費者の共感や納得も得やすくなります。

2. ロットや期限に応じた「限定マーケット」展開

「賞味期限が1ヶ月を切っている」「10個だけ残っている」などの、通常では売りにくい条件の商品。
これらは、あえて“限定”というプレミア感をもって売るのが有効です。

たとえば、こんなかたちで展開できます。

商品の特性活用できる販売方法
賞味期限が短い会員限定の“今だけセール”で即時出荷
小ロット・バラ品セット品や詰め合わせで販売
季節外れ商品「訳あり福袋」として企画化

このように「ちょっと難あり」に見える商品も、条件に合ったマーケット設計をすることで“魅力ある商品”に変わるのです。

✅ 大切なのは、“市場の主流”ではなく、“特定のニーズ”に合わせること。

「おトクに楽しみたい」「もったいない精神に共感している」などの層に向けて絞って届けることで、無理なく循環が生まれます。

3. 「流通の透明性」を活かしたエシカル販路活用

最後は、商品の背景を正直に伝えることで信頼を得るというアプローチです。
「余ったもの」「B品だから」などを隠すのではなく、“なぜそれが今ここにあるのか”をきちんと伝えること。

たとえばこんな伝え方があります。

✅「パッケージ変更により流通が止まった商品です」
✅「納品先のキャンセルにより行き場を失ってしまいました」
✅「少量ロットのため、通常流通には出せませんでした」

こうした説明を添えることで、消費者に判断の余地と信頼を与えることができます。

実際、近年では「背景がわかる商品なら選びたい」という声が増えており、透明性の高さが“エシカル価値”として評価される時代になっています。

また、会員制の流通や特定コミュニティ向けに限定公開することで、ブランドや価格体系を守りながら販売することも可能です。

実際にどうやって実現する?サーキュラーモデル導入ステップ

谷澤まさみ
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「循環型の食品流通っていいな」と思っても、いざ社内や取引先に持ちかけると、「うちはちょっと…」と腰が引けてしまうこともありますよね。
でも、サーキュラーエコノミーは理想ではなく、戦略
実現のためには、現場に合ったステップで、着実に組み立てていくことが大切です。
ここでは、卸売業者さんが今すぐ取り組める実行ステップを、3つに分けてご紹介します。

社内調整からスタートする、在庫活用の意識改革

まず大切なのは、「在庫をどう活かすか?」という社内全体の認識をそろえることです。

ありがちなのが、
✅ 営業:「もう売れないから処分でいいですよね」
✅ 商品管理:「倉庫もパンパンだし、廃棄しかない」
と、部署ごとに温度差があるパターン。

この場合、社内に「これは価値のある在庫です」という発信がないまま、チャンスを逃してしまいます。

そこで必要なのが、次のような“意識のすり合わせ”です。

  • 在庫=コストから、在庫=資源という考え方への転換
  • 商品特性(期限、状態、数量)を定期的に“棚卸し”する仕組み
  • 在庫活用が企業価値や社会貢献につながることの共有

✅ 社内に「売れ残り活用は恥ずかしいことじゃない」という文化を根づかせることが、最初の一歩です。

パートナー選定がカギを握る——“販売先”より“共創先”を探せ

次に重要なのが、どこに流すか?より、誰と組むか?です。

従来の流通は、「売れるところに売る」が基本でしたが、サーキュラーモデルではむしろ、
「一緒に価値を伝えてくれるパートナーを持つ」ことが成功の分かれ道になります。

ポイントは以下のような“共創的な関係性”を築ける相手です。

見るべきポイント理由
小ロット・短期対応ができる在庫条件に柔軟に対応してくれる
エシカル・サステナブル意識が高い在庫活用の価値をきちんと伝えてくれる
顧客コミュニティを持っている商品の背景に共感する消費者とつながっている

✅ 単なる「モノを売る相手」ではなく、“文脈ごと届けてくれる仲間”を見つけることが、ブランドと信頼を守る鍵になります。

ブランドを守りながら販売するための設計思想とは?

そして最後は、「どう売るか」の仕組みづくりです。
在庫を活かすにしても、ブランド価値を傷つけてしまっては意味がありませんよね。

そこで今注目されているのが、「クローズド・バイイングモデル」という考え方です。
これは、価格はオープンでも、購買は会員や登録者などの限定層だけに絞るという仕組み。

✅ 誰でも情報にはアクセスできるけれど、「買えるのは選ばれた人だけ」という設計。

このモデルのメリットは次の通りです。

  • ブランドの価格帯を守りながら在庫を販売できる
  • 消費者には“選ばれた特典”として伝えられる
  • 安売りではなく、エシカルな選択としての価値提供ができる

こうした仕組みをうまく活用すれば、「在庫処分感」を出さずに、価値ある流通のストーリーをつくることができるのです。

OEFが支援する“新しい食品流通モデル”

谷澤まさみ
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ここまでお話してきたように、「在庫を捨てずに活かす」ためには、売り方の設計そのものが変わる必要があります。
その中で注目されているのが、OEF(Ethical EC Outlet)という流通の新しいカタチです。
OEFは、サーキュラーエコノミーの実践を支える卸売業者向けの“安心して使える販路”として、全国で広がりを見せています。
「売れ残りゼロ」への挑戦を、もっと自然で、もっとポジティブなものにしてくれる仕組みです。

価格は見えるが、購買はクローズド——OEFの安心設計

まずOEFの最大の特長は、「価格はオープンに表示されるけれど、購入できるのは会員だけ」というシステムです。
これにより、ブランド価値や既存の価格体系を壊すことなく、在庫を活かすことができます。

たとえば、BtoB取引先に価格を知られたとしても、「誰でも買える場」ではないため、流通のコントロールが可能になります。
これは「クローズド・バイイングモデル」と呼ばれる手法で、エシカルな流通の世界では注目されています。

情報は見せて信頼感を、購買は限定して安心感を。

この絶妙なバランスが、卸売業者さんにとっての「使いやすさ」につながっているのです。

フードロス削減と収益化を両立する“エシカル販路”の仕組み

OEFは、ただのアウトレットサイトではありません。
「もったいない」に共感するサブスク会員を中心に、「理由ある値引き」に納得した上で購入してくれる仕組みになっています。

これは、価格競争ではなく、価値提案型の販売
安いから売るのではなく、「背景にある物語ごと、選んでもらう」という仕組みです。

さらに、OEFでは販売手数料も「売れたときだけ10%」とシンプルで、
物流も
各サプライヤーが自分でコントロールできるため、負担感も少ないのが特長です。

つまり、OEFは——

  • 廃棄を減らしたい
  • 売上にもつなげたい
  • ブランドは守りたい

という現場の“ワガママ”に、ちゃんと応える販路なのです。

全国の卸業者が実践する「売れ残りゼロ」への挑戦事例

実際に、OEFでは全国の卸業者さんが、日々在庫活用の実践を始めています。

たとえば——

賞味期限が30日を切ったスープ商品を、OEFでセット販売したところ、3日で完売。
パッケージ変更のため止まっていた調味料が、「訳あり詰め合わせ福袋」として再構成され、通常販路よりも利益率アップ。
B品チョコレートを、「おうちスイーツ素材」として用途提案することで、ファン層を拡大。

これらはすべて、「売れ残り」から「次の価値」へ変換する視点と仕組みがあったからこそ生まれた成果です。

そしてその裏側には、「どうせ捨てるなら」ではなく、
「最後まで届けたい」「喜んでもらえる形にしたい」という、つくり手・売り手のやさしい気持ちがあります。


OEFの仕組みは、在庫に悩む卸売業者さんの“第二の販路”として、
ただ便利なだけでなく、「気持ちよく売れる」ことを大切にしています。

在庫処分に頭を悩ませている方こそ、
“処分”ではなく“活用”という選択肢を、いま改めて考えてみませんか?

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