谷澤まさみ
谷澤まさみ

化粧品業界で意外と見落とされがちな「テスター・試供品」の活用法。実は、廃棄せずに価値を生む方法があります。ブランド価値を守りながら収益化するヒント、目次を見て必要なところから読んでみてください。

化粧品業界の「テスター問題」とは?

店頭や展示会などで使われる化粧品のテスターや試供品。実はこれらには、「まだ使えるのに処分せざるを得ない」というもったいない現実があるのをご存じでしょうか?ブランドイメージや衛生管理の観点から、廃棄が選ばれてしまうケースも多く、化粧品卸やメーカーの現場では頭を抱える方も少なくありません。この章では、そんな“テスター問題”の背景と、そこにあるリスクをやさしくひもといていきます。

展示品・試供品が抱える在庫リスク

化粧品の展示品やテスターは、消費者に実際の色味や香り、使い心地を試してもらうために欠かせない存在です。ところがイベントが終わったり、パッケージが変更されたりするだけで、「販売できない在庫」として棚の奥に追いやられることも少なくありません。

✅ こんな場面で“余りもの”になることが…

  • 店頭サンプルとして1週間だけ設置されたが、残量が微妙に中途半端
  • 展示会で使用したが、未開封のまま倉庫に戻された
  • マーケティング用に製造した試供品が、時期を逃して配布できず残った

衛生面を気にして販売をためらうのは当然ですが、保管状態が良く、安全性に問題がない製品であれば「使ってもらえる可能性」があるという点も、忘れてはいけない視点です。

廃棄にかかるコストもバカになりません。大量の試供品やテスターは、製造原価こそ低いものの、数が積もれば廃棄費用や倉庫代も重荷になります。「廃棄ではなく、別の形で価値提供できたら…」そんな想いを抱える企業が、じつはたくさんいらっしゃるのです。

ブランドを守るために「処分」される現実

テスターが収益化されにくい理由の一つが、「ブランド価値とのバランス」です。例えば、高価格帯のスキンケア製品をアウトレットで売ることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。とくに「安売りイメージがつくのでは?」といった懸念は、ブランド担当者にとって大きな課題です。

でも、ここで大切なのは「誰に、どう届けるか」です。

✅ ブランドイメージと価格戦略を両立させる視点

課題解決のヒント
定価の信頼性が下がる一般流通とは切り離されたチャネルで販売する
安売りの印象がつく限定された購入者層にのみ提供する
顧客満足度が下がる明確な「お試し用途」として価値を打ち出す

この表のように、「ブランド価値を守るには売らない」ではなく、「ブランドを守りながら届ける仕組みをつくる」という発想の転換が求められているのではないでしょうか。

試供品や展示品は、“売れないもの”ではありません。ほんの少し視点を変えるだけで、“届けたい誰か”にとって価値ある選択肢になる可能性を秘めています。

そう思うと、在庫ではなく「未来の顧客との出会いのチャンス」に見えてきませんか?

テスターを「試せる商品」として販売するという選択

谷澤まさみ
谷澤まさみ

「まだ使えるのに売れない」とされてきたテスターや試供品。でも、それを「ちょっとだけ試せる限定商品」として捉え直すと、まったく違う景色が見えてきます。実際に使用感を体験したいお客さまにとって、テスターはむしろ“買いたい存在”なのかもしれません。この章では、そんな視点の転換と、需要があるユーザー層との出会い方を考えていきます。

「使えるけど売れない」を「売れるけど限定」に変える発想

テスターは、一般的には“非売品”というイメージが強く、「もらうもの」であって「買うもの」ではないと捉えられがちです。でも、たとえばスキンケアやメイクアップ商品など、実際に肌で試してから選びたい人にとっては、テスターこそ価値ある選択肢になりえます。

ここで大事なのは、「売れない」ではなく「売る仕組みがない」だけだったという視点です。

✅ 「限定」というプレミア感のつくり方

  • 数量限定:余剰在庫の数に合わせて販売数をコントロール
  • 購入対象を限定:サブスク会員限定やレビュー協力者に絞る
  • 利用目的を明示:あくまで“試用目的”であることを強調

こうすることで、ブランド価値を守りながら収益化につなげる販売設計が可能になります。「使えるけど売れない」から、「売れるけど特別な人だけ」へと、テスターの意味づけを変えていくことがポイントです。

実際の使用感を求めるユーザー層とのマッチング

テスターや試供品が本当に必要とされているのは、どんな方たちでしょうか?

たとえば、敏感肌の方やスキンケアに慎重な方は、「いきなり現品を買うのは不安…」と感じることが多いです。こうしたユーザーにとって、ミニサイズや使用期限の短いアイテムでも、“手軽に試せる価格”と“確かなブランド”が揃っていれば、購買意欲はしっかりと存在します。

また、コスメのトレンドを追うのが好きな方々も、気軽に使えるテスター商品には好意的です。複数のブランドを比較したい層や、限定感のある買い物を楽しみたい層には、むしろワクワクする選択肢になるのです。

✅ テスター商品を求める主な層

ユーザータイプ主なニーズ
敏感肌/アレルギー体質肌に合うか事前に試したい
倹約志向のユーザー高価な化粧品をお得に試したい
トレンド好き/レビュー投稿者SNSやブログで紹介したい

このように、「試してから納得して買いたい」という声は、実はとても多いのです。適切な価格と届け方さえ設計できれば、テスターには確かな“買う理由”があることがわかります。

「もう役目を終えた」と見なされてきたテスターが、「はじめての出会いを届ける役割」に変わる。そんなやさしい循環が、もっと広がっていくといいなと思っています。

販売チャネルの工夫でブランド価値を守る方法

谷澤まさみ
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「安く売るとブランドの価値が下がるのでは?」というご相談を、化粧品メーカーの方からいただくことがあります。とくに高級ラインの商品ほど、その懸念は大きいですよね。でも大丈夫。“売り方”を少し工夫するだけで、ブランドを守りながらテスターや試供品を収益化する方法は、ちゃんと存在します。この章では、その鍵となる販売チャネルの考え方を紹介します。

「誰でも買える」ではなく「選ばれた人だけが買える」仕組み

ブランド価値を傷つけてしまうのは、“価格”そのものではなく“流通のされ方”だったりします。

例えば、一般的なECモールに安値で並べられていたら、「あれ?このブランドって値崩れしてる?」と感じられてしまいますよね。でも、もしその商品が「登録会員しか購入できない」場所で販売されていたらどうでしょうか?

✅ 限定された販路がもたらす安心感

  • 会員限定の購入サイト
  • メール登録や招待制による購入条件の設定
  • 一定の価値観(エシカル消費・サステナビリティ)に共感した人だけが買える

このように、「買える人をあえて絞る」ことで、商品のプレミア感を保ちつつ販路を広げることができるのです。安く売っているのではなく、特別なコミュニティで使われている商品という認識に変わるのが、大きなポイントです。

クローズド・バイイングモデルとは?ブランド毀損の回避策

このような購入者を限定する販売設計のことを、「クローズド・バイイングモデル」といいます。

これは、「価格は見えるが、購入できるのは会員のみ」という販売方法で、OEFでも取り入れている仕組みです。大きな特徴は、以下の通りです。

項目クローズド・バイイングモデルの特徴
価格表示オープン(誰でも見られる)
購入可能者会員限定/条件付き登録者のみ
ブランド保護一般市場の価格体系に影響を与えにくい
販路の透明性販売実績が追跡可能で、不正転売も防ぎやすい

※このモデルを採用することで、ブランド価値を損なわずに「在庫活用」と「新規顧客接点」を両立できます。

とくにエシカルやサステナブルに関心のあるユーザーは、“値段の安さ”よりも“想いのある選択”を重視しています。そうした方々に向けた限定販売は、むしろブランドのイメージアップにもつながります。

「ブランドの誇りを守りながら、誰かの役に立てる」。そんなやさしい仕組みが、これからの流通にもっと必要とされていくのかもしれません。

テスターや試供品の収益化アイデア3選

谷澤まさみ
谷澤まさみ

「廃棄しかないと思っていた在庫に、実はちゃんと“役目”があった」——そんなふうに気づけたら、在庫管理や販路拡大の考え方が、ぐんと変わっていくと思います。ここでは、化粧品のテスターや試供品を「ムダなく、気持ちよく活かすための3つの販売アイデア」をご紹介します。どれもブランドイメージを崩さず、ファンを増やしながら取り組める方法です。

「お試しBOX」としてセット販売する

単品で売りにくい試供品や展示品も、「お試しセット」や「福袋」形式にまとめることで、ひとつの魅力的な商品に生まれ変わります。

✅ こんなふうにセット化するのがおすすめです

  • 同シリーズのスキンケアアイテム(例:クレンジング+化粧水+美容液)をミニサイズで組み合わせる
  • 人気ブランドのテスターだけを詰め込んだ「トレンド体験BOX」
  • 使用期限が近いサンプルを集めて「レスキュー価格」で販売

セット販売にすることで単価アップにもつながりやすく、ユーザーの購入ハードルも下がります。購入者としても“いろいろ試せてうれしい”体験になるので、満足度が高いのも魅力です。

インフルエンサー向けサンプル提供とレビュー販売連携

試供品やテスターは、プロモーションツールとしても強い力を持っています。

例えば、SNSやYouTubeで影響力のある美容系インフルエンサーに「限定サンプル」として提供し、レビュー投稿とセットで“公式ECリンク付き”のアウトレット販売を行う方法です。

このやり方のメリットは…

  • リアルな使用感が伝わることで、購入の不安が軽減される
  • 商品が紹介されることで、新たなユーザーに認知される
  • フォロワーとの信頼関係を持つインフルエンサーを通じて、ブランドの温度感も保ったまま販路を広げられる

とくに「広告は信用しないけど、○○さんのオススメは試してみたい」という今のユーザー心理にフィットしやすく、購入率の高い導線をつくることができます。

サブスク会員限定でのアウトレット販売

最後にご紹介したいのは、「会員だけが買える」安心設計のアウトレット販売です。

たとえばOEFのようなクローズド型のエシカルECサイトでは、誰でも商品情報を見ることはできますが、購入はサブスク登録した会員のみに限られています。この仕組みにより…

✅ ブランドが守られるポイント

  • 外部価格への影響を最小限にできる
  • セール情報が不特定多数に拡散されにくい
  • 会員限定の“選ばれた感”が、商品価値をより引き立てる

さらに、会員はエシカル消費に関心がある層が多いため、価格だけで判断せず、背景やストーリーごと受け取ってくれるという安心感もあります。

売れ残ってしまったテスターを、「買い手のいない在庫」から「価値のわかる人へ届ける限定商品」へと再定義していく。そんなやさしくて、サステナブルな流れが、これからますます大事になってくると感じています。

OEFという選択肢——価値あるテスターに第二の役割を

谷澤まさみ
谷澤まさみ

「売れなかったら捨てる」ではなく、「もう一度、価値ある誰かの手に届ける」。そんなあたたかい循環が実現できる場所として、OEFはあります。エシカルな価値観に共感する人たちが集い、テスターや試供品にも“第二の人生”を与える販路として、OEFは今、化粧品業界の新たな選択肢になりつつあります。この章では、OEFがなぜブランドを守りながら在庫を活かせるのか、その仕組みをお伝えします。

OEFの会員限定モデルで守れるブランドと価格戦略

OEFの一番の特長は、「価格表示はオープン、でも購入は会員限定」というクローズド・バイイングモデルを採用している点です。

この設計によって、以下のようなブランド保護と販売効率の両立が可能になります。

✅ ブランドを守れる理由

  • 誰でも商品ページは見られるが、購入できるのは選ばれた会員のみ
  • 会員の属性がエシカル志向であり、転売リスクや価格破壊の恐れが少ない
  • 市場価格と明確に切り分けられた「限定流通」であるため、既存取引先にも説明がしやすい

つまり、「お得に買える人がいる=価格崩壊」という構図ではなく、“条件付きのプレミア体験”として提供されることで、価格の正当性が担保されるのです。

実際に、OEFで取り扱われている美容系商品には、もともと定価が高いプロ仕様のアイテムや、サロン向けブランドも含まれています。そうした繊細な価格設計が必要な商品でも、OEFなら安心して展開できる環境が整っているのです。

化粧品サプライヤーが安心して出品できる理由

OEFは、ただ商品を「売る場所」ではなく、価値観に共感したユーザーに“届ける場所”です。

そのため、化粧品サプライヤーにとっても安心できる理由がいくつかあります。

✅ 安心のポイント

  • 出品にかかる初期費用は登録時のみで、販売手数料は10%とシンプル設計
  • 販売後の物流は各サプライヤーが直接行うため、自社の配送体制をそのまま活かせる
  • 在庫リスクを低減しながら、ブランドの想いを伝えられる販売導線が整っている
  • 必要に応じて、OEFスタッフが販売設計やページ作成もサポートしてくれる

また、OEFのユーザーは、「エシカルな選択を日々の生活に取り入れたい」という意識の高い方が多いため、在庫活用=安売りではなく、社会的価値ある行動として捉えてくれます。

出品者にとっても、購入者にとっても、気持ちのいい循環が生まれるエシカルなマーケットプレイス。それがOEFです。

テスターや試供品に、「ありがとう」と言ってもらえる未来をつくる場所。
OEFは、そんな販路を目指しています。

👉 エシカルに在庫を処分する方法がまとめられた記事はこちら

✅ 在庫処分に悩んでいる
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