谷澤まさみ
谷澤まさみ

在庫過多で困っている食品メーカーや小売業の方へ。在庫を「ただ安く売る」のではなく、価値として届ける新たな方法があります。ブランドを守りながら在庫を活かすヒント、目次を見て必要なところから読んでみてください。

食品業界で深刻化する在庫過多のリアル

最近、食品業界では「在庫が余って困っている」という声をよく耳にします。食品という特性上、長期保管ができない商品も多く、売れ残るだけでなく、廃棄という選択肢を迫られるケースも少なくありません。在庫過多は、企業の利益を大きく圧迫する深刻な課題です。ここでは、その背景と影響を一緒に見ていきましょう。

なぜ今、食品業界で在庫が膨らんでいるのか?

在庫が膨らむ理由には、いくつかの要因が重なっています。まず大きいのは、需要予測の難しさです。天候の影響、物価の変動、急なキャンセル――ちょっとした外部要因で、売れるはずだった商品が動かなくなってしまうのです。

また、流通の仕組みにも課題があります。スーパーや卸先の“棚の空き状況”に合わせて、とりあえず大量生産しておくという商習慣が、今でも一部に残っています。すると、予測を超えた在庫が倉庫に積みあがり、結果としてフードロスにつながってしまいます。

加えて、最近ではオンライン販売が進んだ一方で、ECサイトでの販売経験が少ない中小企業や生産者さんたちが、在庫調整に悩むケースも増えています。「いい商品なのに、どう届けたらいいかわからない」そんな声もよく聞きます。

在庫過多の背景

  • 需要予測が不安定(天候・物価変動・キャンセル)
  • 小売側に合わせた過剰生産
  • 販路の少なさとEC経験不足

こうした問題が重なると、「売れ残り=負担」と感じる気持ちも無理はありません。

廃棄コストや保管料が利益を圧迫する理由

食品の在庫には“期限”があります。少し時間が経つだけで、おいしさや価値が下がってしまうものも少なくありません。そうなると、売り物として扱いにくくなり、最終的には廃棄せざるを得なくなります。

そして、その廃棄にもお金がかかるんです。産業廃棄物として処理すれば、重量や品目によって処理費用が発生しますし、焼却や輸送の手間も無視できません。

さらに問題なのは、「その在庫があるだけでコストがかかる」ということ。保管スペースが埋まれば、倉庫代や冷蔵・冷凍費用が毎月のように積み上がります。以下の表に、よくあるコスト項目をまとめてみました。

コスト項目内容
廃棄処理費商品の処理・輸送・焼却にかかる費用
保管料倉庫使用料、冷蔵冷凍設備の電気代など
管理工数在庫チェック・棚卸・入れ替えの人件費

こうしたコストは「目に見えにくいけれど確実に利益を削る存在」です。利益を圧迫するというより、「気づかないうちにじわじわと経営を蝕む」そんなイメージのほうが近いかもしれません。

でも、ここで一度立ち止まって考えたいんです。
「この在庫、本当に“不要なモノ”なんだろうか?」と。

賞味期限が少し近いだけで、見た目がちょっと不揃いなだけで、まだちゃんと“おいしく食べられる”食品たち。彼らを救う方法が、実はちゃんとあるんです。それは、次の章でお話ししていきますね。

自社ECが在庫過多解消の切り札になる理由

谷澤まさみ
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在庫が余ったとき、ただ処分するのではなく「どう活かすか?」という視点に切り替えたとき、自社ECはとても心強い選択肢になります。特に中小規模のメーカーや地域の生産者さんにとっては、販路を自らコントロールできることが大きな強みです。在庫を“眠らせずに動かす”方法として、今あらためて注目されています。

卸・実店舗に依存しない直販チャネルの強み

これまで多くの食品メーカーさんは、スーパーや百貨店などの「小売経由の販売」に頼ってきました。でもこの方法では、どうしても仕入れ側の都合に左右されてしまう場面が多くなります。

「今は棚が空いていない」「この価格じゃ仕入れられない」といった条件の前に、せっかくの商品が“出番待ち”になってしまうことも…。そんなとき、自社ECがあればどうでしょうか?

✅ 自社ECのメリット

  • 販売のタイミングや価格を自分で決められる
  • 企画ものや訳あり商品も自由に販売できる
  • 顧客と直接つながれるから、リピーターも増えやすい

つまり、商品を一番よく知っている自分たちの手で、必要としている人に直接届けられるんです。在庫を「持て余すもの」から「活かせる資源」へと変える第一歩。それが、自社ECという直販チャネルです。

在庫調整がしやすく、粗利も高いECの構造

もうひとつの大きな魅力は、在庫調整が柔軟にできること。たとえば、賞味期限が近づいてきた商品を「数量限定セール」として短期販売したり、福袋のような“おまかせセット”として組み直すことも可能です。

店舗だとスペースの制約や表示ルールがあり、そういった自由な工夫がしづらいのが現実。でもECなら、アイデアとタイミング次第で、在庫を“提案型商品”としてリブランディングできるんです。

加えて、中間マージンがかからないぶん、粗利も確保しやすいという利点があります。以下のように、EC販売は利益構造の面でも優れています。

販売チャネル中間マージン在庫調整の自由度利益率
卸売・実店舗高め(30〜50%)低い低め
自社ECほぼなし高い高め

このように、自社ECは単なる「販売の場」ではありません。在庫をうまく動かし、ブランドの魅力を自ら伝えられる、とても自由度の高い“自社の武器”になるのです。

今はまだ在庫を“重荷”と感じている方こそ、ECを味方にしてほしいと感じています。買い手と直接つながることで、商品が再び輝き始める。そんな瞬間を、もっと増やしていけたらいいですね。

SNSを活用した「在庫レスキュー」の具体戦略

谷澤まさみ
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「まだ食べられるのに、廃棄するしかない」そんな在庫たちを救う手段として、SNSが今とても注目されています。ただ拡散されるだけでなく、“思い”や“背景”が伝わるからこそ、フォロワーの共感を呼び、実際の購入につながるんです。ここではInstagramやTikTokなど、実際に反応が良かったSNS活用例をご紹介します。

Instagramで“賞味期限近い”お得情報を配信

Instagramは、写真や短い動画を通じて「商品の世界観」を伝えるのにぴったりのツールです。特に食品の場合は、見た目の美味しさ季節感セット内容のお得感などが視覚的に伝えられるため、ユーザーの購買意欲を刺激しやすくなります。

たとえば、こんな投稿が効果的です。

✅ Instagram活用のポイント

  • 商品写真と一緒に「なぜ今お得なのか?」を明記
  • 例:「賞味期限まであと10日。でも味は変わりません」
  • セット割引や“送料込み”のメリットをしっかり伝える
  • 「◯月◯日まで限定」など、期限を設けて即決を促す

さらに、ストーリーズ機能を使って「今だけの特売」「在庫が残り少ない」などの速報を流すのも効果的です。ストーリーズは一時的な表示なので、“今チェックしないと逃してしまうかも”という緊張感を自然に演出できます。

TikTokで“訳あり食品”の舞台裏をストーリー化

TikTokでは、商品の背景にあるストーリーを見せることが信頼につながります。「なぜこの商品が訳ありなのか?」「どうやってレスキューされたのか?」そんな舞台裏を映すことで、商品の“魅力+理由”がしっかり伝わるんです。

たとえばこんな動画が人気です。

✅ TikTok活用のアイデア

  • 「工場でパッケージが少しズレただけ」の紹介動画
  • 売り場に並ばなかった理由を3秒で解説+実食レビュー
  • “中の人”が顔出しして「この在庫を救ってください」と語る

このように、顔や声を通じて商品への“愛”が伝わるコンテンツは、視聴者の記憶に残りやすく、コメントや保存などのリアクションも増えていきます。

また、「#もったいないチャレンジ」や「#在庫レスキュー」などのハッシュタグをつけて投稿すると、同じ想いを持つ人たちと自然に繋がれるのも魅力のひとつです。

フォロワー参加型キャンペーンでエンゲージメントを強化

「ただ見てもらう」だけではなく、「参加してもらう」ことが、SNSではとても大切です。フォロワーとの関係を深め、継続的に応援してもらうために、参加型のキャンペーンはとても有効です。

✅ 参加型キャンペーンの例

  • 「あなたが救いたい在庫に投票!」
  • 「#我が家のレスキューレシピ」投稿コンテスト
  • レビューを書いてくれた人の中から、抽選でギフトプレゼント

参加型にすることで、ユーザーも「自分が誰かの役に立てている」と実感できるのが大きなポイントです。ただ安いから買うのではなく、「誰かの困りごとを一緒に解決する」体験が、エシカル消費につながっていきます。

SNSは、単なる宣伝の場ではなく、共感や対話を育む場所。
在庫を“もったいない”で終わらせず、“うれしい”に変える力が、きっとそこにはあるのだと思います。

在庫販売でもブランド価値を守る方法

谷澤まさみ
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「安く売る=ブランド価値が下がる」と思われがちですが、実はそうとは限りません。大切なのは、“どう見せるか”と“どこに届けるか”。しっかりとした設計と伝え方さえあれば、在庫販売であってもブランドを守りながら、新しいファンをつくることは十分可能です。ここではその具体的なポイントを見ていきましょう。

販売先の「限定感」が価格信頼性を守る

一般的に、アウトレット価格での販売には「ブランド価値が下がってしまうのでは」という不安がつきまといます。でも、それは“誰にでも見せて、誰にでも買われてしまう”売り方をしたときの話です。

そこで有効なのが、「限定された顧客だけに販売する」というクローズド・バイイングモデルです。

✅ 限定販売の仕組み(例)

  • 商品情報は公開しても、購入は会員限定
  • 会員には“エシカル消費”や“フードロス削減”への共感層が中心
  • 数量・期間・セット販売などの制限を設けて、特別感を演出

このように、見せ方に“ストーリー”と“選ばれし人向け”の雰囲気を加えることで、「これは特別な価格設定」「ブランドの好意的な取り組み」として受け止められやすくなります。

つまり、「安売り」ではなく「賢い選択」として届けられれば、ブランドに対する信頼感はむしろ強まるのです。

SNSとECの連携で“エシカル”な販売ストーリーを伝える

そしてもう一つ、ブランド価値を守るうえで欠かせないのが“文脈づくり”です。単に「お得です!」と伝えるのではなく、「なぜ今この価格なのか」「どんな背景があるのか」をSNSやECでしっかり語ることが信頼につながります。

たとえば、次のような工夫が効果的です。

✅ ストーリー発信のコツ

  • SNSで「この在庫、捨てられるはずだったんです」と背景を共有
  • ECの商品ページに「なぜ訳ありか」「どんな人に届けたいか」を記載
  • ハッシュタグで「#もったいないを救う」「#エシカルな選択」を活用

こうしたストーリーがあると、ユーザーは単に価格だけでなく、“この買い物には意味がある”と感じるようになります

また、SNSからECへの導線も大切です。Instagramの投稿から商品ページへ誘導したり、TikTokの動画に購入リンクをつけたりすることで、「共感→行動」までの流れがスムーズになります。

エシカルな姿勢をきちんと伝えながら、在庫を活かす。
それが、“モノを売る”ではなく“価値を共有する”という、これからの販売のあり方なのかもしれません。ブランドを大切にしたいからこそ、誠実に、あたたかく、伝えていきたいですね。

食品在庫を“価値”に変える新たな販路とは?

谷澤まさみ
谷澤まさみ

在庫として行き場を失いかけた食品にも、「まだ誰かに必要とされる価値」が残っています。ただ、それを“お得だから”というだけで売ってしまうと、価格勝負に巻き込まれ、ブランドが傷ついてしまうこともあります。だからこそ、買い方に物語をのせて届ける販路が求められているのです。

安さだけじゃない“買い方のストーリー”を伝える意義

人は、単に「安いから」ではなく、「納得できる理由があるから」買いたくなるものです。特に食品の場合、「なぜこの価格で販売されているのか」「それを買うことで、どんな良いことがあるのか」が明確になると、価格以上の価値を感じてもらえます。

たとえば、こんなストーリーがあると伝わりやすくなります。

✅ 共感を生む“買い方の物語”

  • 製造過程でパッケージが少し傷ついてしまったけれど、中身は新品同様
  • 地域の小さな工房が販路を失ってしまい、在庫を抱えて困っている
  • 賞味期限が近づいた商品を、廃棄ではなく「レスキュー」する選択

こうした背景を知ったうえでの購入は、「安く買えてラッキー」ではなく、「誰かの困りごとを解決できてうれしい」という前向きな体験につながります。これが、在庫を「安く売る」ではなく「意味を持って売る」ことの違いです。

OEFの仕組み:価格は見えるけど、買えるのは会員限定

OEFでは、すべての商品情報を誰でも見られるかたちでオープンにしています。ただし、購入できるのは登録した会員のみ。この仕組みが、在庫販売においてとても重要な意味を持っているんです。

✅ OEFの販売モデルのポイント

  • 商品の魅力や価格は“誰にでも見える”ようにして、誠実さと信頼を確保
  • でも、購入は“会員限定”にすることで、取引の場を絞り込む
  • 会員の多くはエシカル消費に関心を持つ人たちだから、共感型の販売が可能

このように、価格の透明性と販路の限定性を両立した設計が、メーカーや販売者の安心感につながります。しかも、「見られるけど買えない」ことで、“この商品、気になる…!”という期待値も自然と高まります。

クローズド・バイイングモデルでブランドも安心

この「購入者を限定する」という仕組みは、クローズド・バイイングモデルと呼ばれ、ブランド価値を守るうえで非常に有効です。

一般的なアウトレット販売では、「このブランド、こんなに安く売ってて大丈夫?」と思われるリスクがありますが、OEFのように購入者を会員に限定することで、価格の信頼性を保ったまま在庫を販売できるんです。

✅ ブランドを守る3つのポイント

  • 誰でも情報を見られることで、“隠し売り”にならない=オープンで誠実
  • 実際の購入行動は限定されているから、価格崩壊を防げる
  • 購入者層が“共感型”なので、価値を理解したうえでのリピートも生まれる

つまり、OEFは“安さ”ではなく“想い”に価値をつけて売る場所
「この商品、本当は捨てられるはずだった。でも、誰かが選んでくれた」
そんな温かい循環が、在庫に新しい命を吹き込んでいきます。

顧客との“あたたかいつながり”を育む場所でもあるんです。

このクローズド・バイイングモデルは、「もう売れない」とされていた商品にもう一度チャンスを与えるだけでなく、販売者自身にも「ちゃんと届いてよかった」と感じてもらえる販路です。

とくに、食品業界の方々が抱えている“在庫への後ろめたさ”や“売り方へのジレンマ”を、ポジティブな意味に転換できるのが、OEFのような仕組みの魅力だと感じています。

✅こんな声も届いています

  • 「傷があるから売れなかったけど、おいしさをわかってもらえて嬉しかった」
  • 「在庫が売れるだけじゃなく、買った人から感謝のメッセージをもらえた」
  • 「安売りじゃなく、“共感”で選ばれるってこういうことなんだと実感しました」

在庫を持つことは、決してマイナスではありません。
その在庫に込められた努力や想いが、“きちんと伝わる場”さえあれば、
それは立派な“価値”として蘇る
のです。

だからこそ、在庫の価値を守りながら、共感を生む新たな販路として――
OEFのようなモデルが、これからの時代に必要なのだと私は信じています。

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