
OEM商品の在庫が余ったとき、ただ処分するだけではもったいない。販路を変えるだけで、安定収益につながる方法があります。目次を見て必要なところから読んでみてください。
OEM商品の「仕入れミス」、よくある原因とその代償
OEM商品を扱っていると、どうしても避けられないのが「仕入れミス」や「在庫の偏り」です。とくに業務用や食品分野では、少しの判断ミスが大量の余剰在庫につながることも。仕入れの判断はいつも真剣勝負ですが、予測のズレや外部要因で思わぬ結果になることもありますよね。ここでは、OEMでよくある在庫トラブルの原因と、その裏に潜むリスクについて見つめてみたいと思います。
注文予測のズレで発生する余剰在庫
「きっとこの時期は売れるはず」と思って発注したら、まさかの低調スタート。そんな経験、ありませんか?OEMでは、取引先の予測や過去データに頼らざるを得ない場面も多く、販売の初速が読めないケースも多々あります。
✅ 特に季節品やキャンペーン向けの商品は、需要の読み違いが致命的です
✅ 取引先の変更や価格競争の激化で、出荷予定が大きく狂うこともあります
たとえば、あるOEMメーカーさんは、新作ドレッシングを業務用向けに大量生産しましたが、納品先のメニュー変更で一気にキャンセルに。結局、数千本が冷蔵倉庫に眠ったままになってしまったそうです。
こうした在庫は時間が経てば価値が落ちていくばかり。特に食品は賞味期限という“タイムリミット”があるため、対策を後回しにすると、販売どころか廃棄コストまで発生する事態にもなってしまいます。
短納期要求とロット縛りのダブルパンチ
OEMの世界では、「早く作って」「しかも安く」というプレッシャーと、ロット単位での生産制限が常に背中合わせです。少量ニーズでも、製造ラインの都合上、どうしても一定量を作らないといけない。そんな“ジレンマ”に、誰しも一度は頭を抱えたことがあるはずです。
✅ 小ロットの注文なのに、最低生産数に達するために無理に作る
✅ 発注側の急なキャンセルや納期変更に振り回される
✅ 仕入れた資材や原材料が余り、使い道がなくなる
このように、短納期の要求と生産の都合がかみ合わないと、余剰在庫が発生する構造が自然と生まれてしまいます。
下記のような状況は、OEMに携わる現場でよくあるケースです。
発注条件 | 結果として起こる問題 |
---|---|
最低ロットが多い | 在庫過多・倉庫圧迫 |
発注頻度が不安定 | 原材料や包材の無駄が出る |
クライアント都合の納期変更 | 完成品の長期保管が必要になる |
※このような構造的な問題は、1社の努力では解決が難しく、販路そのものを見直す必要性に気づく企業も増えています。
だからこそ、「廃棄せずにどう活かすか?」という視点が、これからのOEMビジネスには欠かせないと私は感じています。“売れなかった”ではなく、“次にどうつなげるか”を一緒に考えていきましょう。
廃棄せずに“売る”!OEM余剰在庫の販路アイデア

せっかく手間をかけて作ったOEM商品が、行き場を失ってしまうのは本当にもったいないことです。でも、「もう売れない」とあきらめる前に、“売り方”そのものを見直してみると、新しい活路が見つかることもあります。ここでは、値引き処分に頼らず、OEM在庫を“ちゃんと売る”ための具体的なアイデアをご紹介します。
安売りではなく「用途変更」で価値を再定義する
よくあるのが、「売れ残ったらとりあえず半額で出そう」という発想。でも、単純な安売りはブランド価値を下げてしまうリスクもあります。そこで意識したいのが、「この商品、別の使い方ができないかな?」という視点です。
✅ ギフトセットから業務用単品へ切り替え
✅ 贈答品から家庭用・介護用として展開
✅ パッケージ変更やラベル貼替で再販対応
たとえば、贈答用に作った高級スープが思うように動かなかったとしても、施設向けの介護食や社食向けのメニュー食材として販売すれば、新しい顧客層に届く可能性があります。
見た目や形が多少違っても、中身の品質がしっかりしていれば、それは「別の価値」に生まれ変われるのです。
「業務用」ルートの活用で、まとまった出荷が可能に
個人向けの通販や店頭販売だと、どうしても“1個売るのに時間がかかる”という悩みがありますよね。そんなときに頼りになるのが、「業務用」という販路です。
✅ 飲食店や給食施設、企業向け福利厚生での活用
✅ ローカルスーパーや共同仕入れ団体とのマッチング
✅ まとめ買いニーズのある業種へ直販アプローチ
業務用なら、1件の取引で数十〜数百単位の出荷が見込めるケースもありますし、在庫の動きが一気に加速します。しかも、個人向けと違ってパッケージの華やかさやSNS映えを求められることが少ないので、訳あり品や外装難アリの在庫でも“価値で勝負”できるのが大きな魅力です。
一度きりで終わらせない“定期便化”という選択肢
ここが本当に大切な視点です。「在庫があるから1回売って終わり」ではなく、“継続して出荷できる仕組み”にできないか?という目線で販路を探してみましょう。
✅ 業務用先と“定期的なセット提供”で契約化
✅ 内容を変えて月替わり商品として提案
✅ 利用者の声をフィードバックして商品ブラッシュアップ
一度マッチしたお取引先と「毎月〇セット」「隔週で〇箱」などの定期納品にできれば、在庫処分ではなく“安定した収益源”に変えることができます。実際、冷凍スイーツを扱うあるOEMメーカーさんは、給食会社と定期便契約を結び、賞味期限の短い在庫を毎月15日に納品するルールで再流通させています。
“あまった在庫”ではなく、“待っている人がいる定期便”に変える。
この視点の変化が、廃棄から利益へのターニングポイントになるのだと思います。
OEMは、作って終わりではなく、どう活かすかまでが“商品づくり”の一部。
ぜひ、「廃棄しない選択肢」を、一緒に探していきましょう。
業務用販路に定期出荷するための3つの条件

OEM在庫をただ“売り切る”のではなく、定期的に出荷できる販路へつなげることができれば、それは企業にとって大きな安心材料になります。でも、業務用の取引先が求めるのは「安いだけの商品」ではありません。信頼できる“供給パートナー”になれるかどうかが、継続取引の分かれ道になります。ここでは、OEMメーカーさんが業務用販路を築いていくために意識すべき3つの視点をお伝えします。
製品仕様の“再整理”と用途の明確化
まず大切なのは、自社の商品を業務用目線で見直すことです。これまで一般消費者向けに設計していた商品も、使い方を明確にすることで“業務用仕様”として再定義できる場合があります。
✅ 飲食店向け:レシピ付き・業務ロット対応・加熱要不要
✅ 介護施設向け:やわらかさ・アレルゲン情報・1食分の量
✅ 企業向け:社内配布しやすいサイズ感・包装の簡素化
たとえば、個人向けのドレッシングを「業務用1Lボトル」に変更し、調理現場での使いやすさやコストパフォーマンスを強調しただけで、給食施設との定期契約につながったという例もあります。
業務用としての“使いどころ”を明文化することで、取引先もイメージしやすくなりますし、「導入しやすい」と感じてもらえるんです。
安定供給体制の見せ方がキモ
業務用バイヤーが一番気にするのは、「ちゃんと続けて供給できるのか?」という点です。たとえ在庫が十分にあっても、「いつでも出荷できます」というアピールだけでは不十分。“どのくらいの期間・頻度で納品可能か”を明確に伝えることがとても大事です。
✅ 月間〇セットまでは即納可能
✅ 生産体制は〇〇工場で対応(追加生産も可)
✅ リードタイムは注文から何日以内
こうした情報をあらかじめ用意しておくと、商談がスムーズに進みます。
実際に、安心感を与えるこの一言が決め手になったという声もあります。
「“継続出荷”を前提に組み立てている」と伝えることが信頼につながるんですね。
小ロットOK・柔軟対応を求めるバイヤーを狙え
最後に押さえておきたいのが、「業務用=大口しか無理」と思い込まないことです。
最近では、小規模な飲食店・配食サービス・地域拠点の施設などが、「小ロットで柔軟に対応してくれるパートナー」を求めているケースも増えています。
✅ 毎月10セットだけでも定期便にしたい
✅ 余剰分だけ欲しいが、内容はおまかせで構わない
✅ 試験的に使ってみてから本格導入を検討したい
こういったバイヤーさんに対しては、「小回りが利くOEMメーカー」としてのポジションが強みになります。しかも、この層は大手と取引実績のないメーカーでも信頼を築きやすく、最初の一歩として最適な相手でもあるんです。
在庫を“さばく”ではなく、“信頼を届ける”視点で動くと、販路は自然と広がっていきます。
OEMだからこそ、商品も生産背景も熟知している。
だからこそ、柔軟に再設計できる“可能性の塊”でもある。
業務用というステージで、商品の“第二の人生”を一緒に描いていけたらうれしいです。
販路づくりのリアル:問屋・給食・介護・地域連携まで

「OEM在庫をなんとかしたい」と思ったとき、販路づくりって実はとても地道な作業だったりします。
でも、“リアルな現場”に目を向けると、意外なニーズやチャンスが眠っていることも多いんです。ここでは、問屋さんや給食現場、地域との連携など、具体的な販路の形とそのアプローチ方法をご紹介していきます。
専門問屋とのマッチング方法
まず押さえておきたいのが、ジャンルに特化した専門問屋とのつながり方です。
問屋と聞くと大規模で敷居が高そうに思われがちですが、最近は「B品対応可能」「小ロットOK」「テスト導入歓迎」といった、柔軟な姿勢をもつ問屋も増えています。
✅ まずは自社の商品ジャンルに特化した卸業者を探す(例:冷凍食品・菓子・調味料)
✅ 問屋が出展している展示会・オンライン商談イベントを活用
✅ 試供品の提供や、リーフレットで「訳あり理由+魅力」を明確に伝える
問屋さんとのマッチングでは、「なぜこの商品が在庫になったのか」だけでなく、「どんな人に喜ばれるか」まで語れることが重要です。
例:パッケージ変更で余ったが、内容は現行品と同一→販促キャンペーン品やセット商品向けに最適
給食・福祉施設が求める「訳あり高品質」
OEM在庫でも、「安心・安全」「扱いやすさ」がしっかりしていれば、給食や福祉施設からのニーズは高いです。特に以下のような視点で商品が評価されやすくなります。
✅ 賞味期限に余裕があり、冷凍・常温保存が可能
✅ 味や栄養面がしっかりしていて、アレルゲン表記などが丁寧
✅ 形やサイズが多少不揃いでも、加熱・盛付けで対応可能
たとえば、形が崩れてしまったスイーツや、ラベル貼りミスで正規出荷できなかったスープなども、「中身は完璧」「見た目に影響なし」という理由で、介護施設の間食メニューに採用されることがあります。
また、定期納品契約を結びやすい業種でもあるため、一度実績ができると長く続く販路になりやすいのが特長です。
地方自治体・NPOとのフードパートナーシップ事例
最近注目されているのが、自治体やNPOとの「フードパートナーシップ」。廃棄寸前の商品を地域の困りごとに役立てる取り組みが広がっています。
✅ フードバンクやこども食堂向けの無償・低価格提供
✅ 地域商社と連携した地元給食・販売イベントでの活用
✅ ふるさと納税返礼品の“訳ありエシカル枠”として出品
こうした連携では、単なる「販路」ではなく、企業の社会的信用やストーリー性も評価されるポイントになります。
たとえば、「地元で余った野菜ペーストをこども食堂のカレーに使ってもらった」事例では、SNSやローカルメディアでも注目され、結果として企業の知名度やブランディングにもつながったという声もあります。
販路づくりって、地味で時間もかかります。
でも、「ちゃんと届けたい」想いを持った人たちにこそ、訳あり商品は求められている。
それは、ただ売るだけじゃなく、地域や社会と“つながる”販売でもあるんだと思うのです。
OEM在庫も、“あまったもの”じゃない。
“選ばれ待ち”の価値ある商品として、届け先を一緒に探していきましょう。
OEM在庫を“定期収益化”するには?

「余ったから一回だけ安く売る」ではなく、在庫を“収益源”として活かすという発想に変えることで、OEMビジネスの安定性はぐっと高まります。ポイントは、“定期性”と“信頼性”。在庫をうまく回しながら、ムダをなくし、販路との関係を育てることが、結果として利益につながるのです。
在庫管理+販路維持=収益のベースが安定する
OEMで余剰在庫が出るのは、避けられない面もあります。ですが、そのたびに“処分対応”をしていると、収益の予測が立たなくなるという課題に直面しますよね。
✅ どれくらいの頻度でどんな在庫が出るのか
✅ どの販路にどう流せば回転が早いか
✅ 小ロットでも買い取ってくれる先がどこか
こうした情報を“見える化”し、ルートと在庫のマッチング管理をルーティンにしておくことで、在庫=損失ではなく、“売れる前提”で管理する資産として扱えるようになります。
販路と在庫の相性を表にまとめると、以下のようになります。
販路 | 向いている在庫タイプ |
---|---|
給食・福祉施設 | 常温・冷凍保存が効く規格商品 |
地域スーパー・産直 | 地場食材や“訳あり”ストーリー性のある商品 |
ネット限定EC | 見た目不良・パッケージ変更品 |
※在庫の性質に合わせて販路を振り分けることで、在庫処理の効率と収益性を同時に向上させることができます。
「廃棄コストゼロ→サブ収入」への意識転換
大切なのは、「この在庫、捨てたらいくらの損になるか」だけでなく、「誰に、どの価格で売れたらいくらの収入になるか」という見方に変えることです。
たとえば、パッケージ変更で正規ルートに乗せられなかったお菓子。廃棄すればコストですが、フードロス販路に定期提供すれば、低単価でも定期収益が生まれます。
✅ 毎月1回、B品在庫を「まとめて仕分け・販売」できる仕組み
✅ フードロス特化ECサイトに登録しておくことで即時対応
✅ 在庫が出る前提での“サブスク型取引”契約を検討するのもアリ
利益率は低くても、固定収入化すれば“捨てるよりはるかにマシ”。
そしてその実績が、新たな販路の信用につながります。
顧客との継続関係がB品の出口戦略を作る
最後に見逃せないのが、「B品だから売れにくい」ではなく、「B品だからこそ信頼で売る」という視点です。
B品でも、「あの工場なら、品質は信頼できる」と思ってもらえると、取引が継続します。
むしろ、「正規品を作る技術があるからこそ、訳あり品も安心」と評価されるケースもあるんです。
✅ 毎月“訳あり〇〇便”として取引先にセット納品
✅ 顧客からのフィードバックをもとに“商品を育てる”関係性
✅ 在庫状況を共有しながら「次回必要なものを一緒に決める」仕組み化
つまり、在庫を“売る対象”ではなく、“関係を築く材料”にしていくことが、B品販路を永続させるカギなんですね。
OEMだからこそ、思いもよらない形で在庫が生まれることもあります。
でも、それを単なる“ミス”ではなく、“資源”として転換できるかどうかで、企業の未来は大きく変わっていく。
“もったいない”から“もっと活かす”へ。
OEM在庫を、しっかりと収益化できる販路と仕組み、一緒に育てていきましょう。
OEFという選択肢|OEM余剰品の新しい販路に

これまでご紹介してきたように、OEM在庫にはまだまだ活かせる道があります。
その中で、「ちゃんと価値を伝えて、ブランドを傷つけずに販売したい」——そんな企業さんにぜひ知っていただきたいのが、OEF(Outlet, Ecology, Foodloss)という販路の存在です。
OEFは、ただの在庫処分サイトではありません。“もったいない”を共感で循環させる、エシカルな購買コミュニティとして設計された新しい流通のかたち。
OEMメーカーさんの声に寄り添いながら、「余剰=資産」へと転換していける仕組みが整っています。
会員制でブランド価値を守りながら販売できる仕組み
多くのOEMメーカーさんが抱えるのは、「安売りしたくないけれど、在庫は動かしたい」というジレンマ。
OEFではこの課題に、“クローズド・バイイングモデル”で応えています。
✅ 商品情報は一般公開。でも購入できるのは月額会員だけ
✅ 会員制により、市場価格の崩壊リスクを回避
✅ ブランドを守りながら、在庫をきちんと流通させることが可能
つまり、誰でも見られるけれど、買えるのは選ばれた人だけ。
だからこそ、「安く出しても、ブランドの価値は守られる」安心感があります。
たとえば、百貨店仕様の商品が賞味期限短縮で流通停止になったケースでも、OEFで販売することで「もったいない」を共感で購入してくれる会員とマッチング。ブランドを傷つけずに、現金化と社会貢献が両立できたという事例が多数あります。
一度きりの処分ではなく“つながり”を生む仕組み
OEFの特徴は、「在庫をさばいて終わり」ではないこと。
一度きりのセールではなく、継続的な関係性をつくれる土台があるのです。
✅ 定期便(レスキューBOX)で余剰品を“定常出荷”に
✅ 会員とのエシカルなコミュニケーションでリピーター化
✅ 販売データ・フィードバックが、商品改善や新開発にもつながる
特に、商品を「救った」実感が得られる購入体験は、会員のロイヤルティを高め、OEMメーカーとの“つながり”として再循環していきます。
しかも、OEFは「エシカルに売れる」だけでなく、「エシカルに好かれる」場でもあります。
企業の社会的価値や理念を伝えることで、ただの“訳あり販売”ではなく、「共感で選ばれる販路」に育っていくのです。
「在庫を処分する」のではなく、
「在庫にもう一度、チャンスを与える」。
それが、OEFが目指すエシカルな流通のかたちです。
もし「この在庫、もしかしたら喜んでくれる誰かがいるかも」と感じたら、
ぜひ一度、OEFという扉をノックしてみてください。
あなたの“もったいない”が、誰かの“ありがたい”に変わるかもしれません。