谷澤まさみ
谷澤まさみ

35歳で初めて気づいた「膣の乾燥」。誰にも言えずに悩んだけれど、自分なりに向き合った経験があります。体の変化が気になった方は、目次を見て必要なところから読んでみてください。

膣の乾燥に気づいた35歳の私(実体験ベースの導入)

膣の乾燥って、閉経前後の話じゃないの? そう思っていた35歳のある日、私ははじめて「もしかして私も…?」と気づかされました。けれど、その違和感を誰かに打ち明ける勇気はなく、しばらく一人で抱えていました。ここでは、私自身が気づき、向き合い、変えていったプロセスを正直に綴ります。もし同じようにモヤモヤしているなら、「あ、私だけじゃなかった」と思ってもらえるかもしれません。

気のせいじゃなかった「違和感」

きっかけは、ごく日常の中にありました。
ナプキンを長時間つけていた日、いつもよりヒリつきやかゆみが強くて、夜には下着に擦れて痛みを感じるほど。最初は「乾燥してるだけかな」と思って保湿クリームを足に塗るような感覚で済ませていました。でも、どこかに“いつもと違う”感覚があったんです。

性交渉のあとにも、潤いが足りないようなパサつき感やヒリヒリ感が残るようになり、だんだんとそれが「またか…」という憂うつな予感に変わっていきました。

その頃の私は、仕事と家事で毎日バタバタ。ちゃんと休めていない、食事もコンビニが多い、そんな生活を“忙しさのせい”にして、体のサインを見て見ぬふりをしていたんですね。

でも、肌荒れやPMSは気にするのに、なぜかデリケートゾーンの変化だけは“なかったこと”にしたくなる自分もいて。
それが余計に、自分自身に対する違和感を強くさせていた気がします。

誰にも言えなかったモヤモヤ

この悩みって、親にも友達にも言いづらいんですよね。「膣が乾燥してるかも」なんて、なんとなく“恥ずかしい”と思ってしまう。

ネットで検索しても、「更年期」「閉経後」といった言葉が並んでいて、35歳の自分に当てはまる情報は見つからず、「まだ早いのかな…」「気にしすぎかも」と思い込もうとしました。

でも、心のどこかではずっと引っかかっていて、何を使えばいいかも、誰に聞けばいいかもわからないまま、モヤモヤだけが蓄積していきました。

そんな時ふと、「このままずっと我慢しながら過ごすの?」と自分に問いかけた瞬間がありました。
私はその問いに、「いや、変えられるなら変えたい」と素直に思ったんです。

そこから、ようやく私は自分の体とちゃんと向き合うようになりました。
“がまんする”ことがケアじゃない。“選べること”が本当のケアなんだと、少しずつ気づいていったのです。

✅「膣の乾燥」は年齢に関係なく起こりうる
✅ 日常の小さな違和感がサインになる
✅ 一人で抱えず、選択肢を持てることが大切

膣の乾燥はなぜ起こるのか(原因と背景の理解)

違和感の正体をはっきりさせるには、「そもそもなぜ、膣の乾燥が起こるのか?」を知ることが欠かせません。何が普通で、何がサインなのか。知識があるだけで、不安は“整理”できます。 ここでは、膣の潤いを保つ仕組みと、30代以降の女性に起こりやすい変化について解説します。

女性ホルモンと膣の潤いの関係

まず知っておきたいのが、膣の潤いは「女性ホルモン」と深く関わっているということです。特に影響しているのが、エストロゲン(卵胞ホルモン)と呼ばれるホルモンで、これは20代をピークに、年齢とともにゆるやかに減っていきます。

エストロゲンには、次のような働きがあります:

  • 膣粘膜を厚くし、潤いを保つ
  • 自浄作用を維持し、雑菌の繁殖を防ぐ
  • 柔らかさや弾力を保ち、傷つきにくい状態を維持する

つまり、エストロゲンが減少すると膣まわりの環境が変化し、乾燥やかゆみ、性交痛などの不快感が現れやすくなるのです。

ここで大切なのは、「エストロゲン=急に減るものではない」ということ。閉経の何年も前から、波のように増減しながらゆるやかに下がっていくのが特徴です。

その“波”にゆさぶられながら、体の調子もアップダウンする。
それが、次のテーマにつながります。

プレ更年期というサイン?

30代半ば〜後半で膣の乾燥を感じたとき、よく出てくるキーワードが「プレ更年期」。これは、閉経前の数年〜10年ほどの期間に起こる、ホルモンバランスのゆらぎ期を指します。

プレ更年期のサインは人によって違いますが、以下のような変化が見られることがあります:

  • 月経周期が不安定になる
  • 肌荒れやむくみが出やすくなる
  • 気分の浮き沈みが激しくなる
  • 膣やデリケートゾーンの違和感(乾燥・かゆみなど)

特に、外から見えない「膣の乾燥」は、気づいてもなかなか認めづらい変化。だからこそ、気のせいにしてやり過ごしてしまうことも多いのです。

でも、プレ更年期は決して“病気”ではありません。
そして、“放っておいていいもの”でもありません。

この時期に「あ、変わってきたな」と気づくことは、自分の体を大事に扱うスタートライン。
膣の乾燥は、その一つのサインとして現れているにすぎません。

✅ 膣の乾燥はエストロゲンの変動によって起きやすい
✅ プレ更年期は30代後半から始まることもある
✅ 体の変化に早めに気づけた人ほど、心地よく対応できる

私が試して効果を感じたこと(対策と変化)

膣の乾燥に気づいてから、私は「何を変えればいいのか?」をひとつひとつ試していきました。劇的に改善したわけではありませんが、積み重ねることで“違い”が実感できたんです。ここでは、私が実際に取り入れて変化を感じたことを3つご紹介します。どれも難しいことではなく、自分の“心地よさ”を取り戻すための選択でした。

毎日のケアを見直した:保湿・洗い方・下着

まず手をつけたのは、毎日のケア習慣です。

特に見直したのが以下の3点でした:

  • 洗いすぎないこと
    ゴシゴシ洗ったり、強い香りのボディソープを使うと、必要な潤いまで奪ってしまいます。デリケートゾーン専用のやさしい洗浄料に変えるだけで、刺激感がかなり減りました。
  • 保湿を“顔と同じくらい”大切にすること
    入浴後にワンプッシュで保湿できるジェルを使うようにしました。最初は抵抗がありましたが、「ここも肌なんだ」と思うことで、自然に続けられるように。
  • 締めつけない下着を選ぶこと
    ナイロン素材やレースたっぷりの下着を、肌あたりのやさしいコットンに変えました。蒸れにくく、乾燥によるかゆみも軽減。体調によって下着を選ぶ意識が芽生えました。

こうした日々の小さな選択が、「自分の体にちゃんと目を向けてる」という感覚にもつながっていきました。

✅ 洗い方は“やさしさ”がカギ
✅ 保湿は特別なことではなく、日常の一部
✅ 肌に合った下着は、不快感の予防にもなる

食生活と睡眠を整えると体が変わった

膣の乾燥は「局所だけの問題」と思いがちですが、実は体全体のバランスと関係しています

私の場合、以下のような生活の見直しがきっかけになりました:

  • 毎朝ヨーグルト+きな粉
    腸内環境と女性ホルモンは密接につながっていると聞いて、発酵食品+イソフラボンを意識。続けるうちに、肌全体の乾燥も落ち着いてきた気がしました。
  • 水分を“しっかりとる”
    デスクワーク中も、常に常温の水かハーブティーを近くに。脱水や血流の滞りは、膣粘膜のうるおいにも影響します。
  • 深く眠れる工夫をする
    寝る前のスマホ時間を10分だけ本に変えてみたり、照明を暖色に変えたり。ちょっとしたことで、眠りの質が上がると、体の“回復力”も実感できるようになりました

生活の見直しって、すぐに効果が出るものではありません。でも、意識を変えるだけで、「私は私を大事にしている」と思える。
その実感が、ケアを続ける原動力になりました。

✅ 食事・水分・睡眠は、ホルモンバランスを支える土台
✅ “続けられること”を小さく始めてOK
✅ 翌朝の体調に注目して、変化を見逃さない

婦人科で相談してみたら

ある日、「やっぱりプロに聞いてみよう」と思って、婦人科を受診しました。
最初は少し緊張しました。でも、話してみたら拍子抜けするほどフラットに受け止めてもらえて、「もっと早く行けばよかった」と思ったのを覚えています。

婦人科で伝えたのは:

  • 膣まわりの乾燥やヒリつき
  • 性交時の違和感
  • 月経周期の乱れやPMSの変化

すると、医師の方からは「30代後半でもホルモンの変動はよくあること」と言われ、
必要に応じてホルモン検査や保湿剤の提案など、いくつかの選択肢を説明してもらえました。

ここで大事なのは、「診断される」ことが目的ではなく、「整理してもらう」ことが大事だったという点です。

ネットでは分からなかった“自分のケース”を、客観的に言語化してもらえるだけで、モヤモヤが晴れていきました。

✅ 医療機関は“最終手段”ではなく、“整理の場”として使う
✅ 恥ずかしさより、安心感のほうが大きかった
✅ 言葉にすることで、体の変化を受け入れやすくなる

膣ケアは恥ずかしいことじゃない(意識の変化)

ここまでいろいろと試してみて、正直なところ「もっと早く向き合っておけばよかった」と思っています。でも、それと同じくらい感じたのが、“恥ずかしい”と思っていた自分を、責めないであげようということ。
なぜなら、このテーマを恥ずかしくさせているのは、私たちではなく、語られにくい社会の空気のほうだったからです。

このパートでは、私自身が感じた“意識の変化”についてお話しします。

自分を大事にするということ

膣ケアって、最初は本当に抵抗がありました。
保湿剤を手に取るときも、鏡で自分の体を見たときも、どこかで「こんなことしていいのかな」と思っていたんです。

でも今は、顔や髪をケアするのと同じくらい自然なことだと感じています。

なぜなら、

  • 不快感をがまんしなくてよくなった
  • 自分の体を“わかってきた”という感覚がある
  • 生活に“余裕”が戻ってきた

こんな変化を経験してはじめて、ケアって自分を大切にする行為そのものなんだと気づけたんです。

私たちは、毎月生理が来て、気分や体調がゆらいで、仕事や家のことをやりくりして…それだけでもう、毎日が“がんばりすぎ”なんですよね。

だからこそ、「ここが乾燥してる」と気づいてあげること、そして「じゃあ何かしてあげよう」と思えることは、自分への信頼を取り戻す第一歩なのかもしれません。

✅ ケア=自分を信じる習慣
✅ 恥ずかしいのではなく、自然なこと
✅ 自分の快適さは、自分にしか守れない

パートナーとの関係にも影響が

もうひとつ、大きな気づきがありました。
それは、自分が変わると、パートナーとの関係性も自然に変わっていくということです。

以前は、性交渉のときに乾燥による痛みや不快感があっても、それを伝えるのがこわくて我慢していました。
「なんか冷たいと思われたらどうしよう」とか、「年齢のせいだと思われたら…」といった不安が大きかったんです。

でも、自分でケアを始めて、きちんと向き合えるようになってからは、
「今日ちょっと乾燥ぎみだから無理しないね」
「潤いが戻ってきた気がするから、様子見てみよう」
と、自分の状態を“報告”する感覚で話せるようになりました。

すると、相手もこちらの気持ちを尊重してくれるようになって、

  • 無理をしないペースを共有できる
  • 心理的な距離感が近くなる
  • スキンシップの質が変わる

といった変化が起きたんです。

ケアって、単に“体のケア”にとどまらないんですね。
関係性のケアにもつながっている。それに気づいたとき、「自分を大事にすること」は、ちゃんと誰かにも伝わっていくんだと感じました。

✅ 自分の状態を伝えることは、関係性のケアにもなる
✅ 恥じるより、共有する勇気を
✅ 心地よさは、二人でつくるもの

よくある悩みとQ&A(安心と行動のきっかけ)

「これって自分だけ?」「誰に聞いたらいいかわからない…」
膣の乾燥にまつわる悩みは、人に相談しづらいからこそ、ひとりで抱え込んでしまいがち。でも、それって本当にもったいないことだと思うんです。

ここでは、私がよく聞かれる質問や、かつて自分でも感じていたモヤモヤについて、Q&A形式でお答えします。
“気になっていたけど聞けなかった”に、やさしく答える場所でありたいと思っています。

膣の乾燥って病気なの?

いいえ、「病気」とは限りません。
多くの場合、膣の乾燥はホルモンバランスの変化や加齢、生活習慣の影響で起こる“自然な体の反応”です。特に30代後半以降の女性にとっては、「年齢のせい」ではなく「体のサイクルのひとつ」として捉えていいと思います。

ただし、以下のような症状がある場合は、婦人科での相談をおすすめします

  • 日常生活に支障が出るほどの痛みやかゆみがある
  • 性交痛が強く、避けたくなる
  • 出血やおりものの変化がある

膣の乾燥そのものは“異常”ではありませんが、他の病気が隠れているケースもあるため、気になる場合は一度医師に相談してみてください。

✅ 多くは自然な変化
✅ 不安があるなら、我慢せず受診を
✅ 異常=病気と決めつけないことも大切

市販アイテムだけで大丈夫?

これは「どうなりたいか」によって変わってくると思います。

私自身は、まずは市販の保湿ジェルや洗浄料から始めました。デリケートゾーン専用のものは、成分やpHバランスが肌にやさしく設計されていることが多く、“ケアの第一歩”としてはとても有効でした。

ただし、アイテムだけに頼ると、

  • 自分の体調の変化に気づきにくくなる
  • ケアの目的が“義務”になってしまう
  • 一時的に良くなっても根本が変わらないこともある

ということもあります。

つまり、市販アイテムは「整える手段」にはなっても、「体を知る手段」にはならない場合があるんですね。

私が感じたベストな使い方は、

  • 市販品を使ってみて、状態がどう変わるかを観察する
  • 合わないと感じたら、無理に続けない
  • 気になるときは、早めに専門家に相談する

という、“試しながら付き合う”スタンスです。

✅ 市販アイテムはスタートに最適
✅ 自分の体との対話を忘れずに
✅ 不安を感じたら、プロの視点も取り入れて

受診のタイミングは?

「まだ病院に行くほどじゃないかも」と感じてしまう気持ち、すごくよくわかります。
私も最初はそうでした。でも、受診って“病気を見つけるため”だけじゃないんですよね。

例えばこんなときは、一度婦人科に相談してみるとよいかもしれません:

  • ケアを続けても乾燥やかゆみが改善しない
  • 閉経の時期が近づいてきたと感じる(40代前後)
  • 気持ちの浮き沈みや月経の乱れも出てきた
  • 性交痛が強くて、生活にも影響がある

婦人科では、診断や薬の提案だけでなく、「それ、よくあることですよ」と言ってもらえるだけで安心できることもあります。

私は、受診を“結果を知る場”ではなく、“安心するための場”として考えるようになってから、だいぶハードルが下がりました。

✅ 「ひどくなる前」に行くことが、ケアの第一歩
✅ 婦人科は“特別なときに行く場所”ではない
✅ 専門家の言葉が、安心と選択肢につながる

膣の乾燥に対して、正解はひとつではありません。
でも、「何もしない」より、「知って向き合ってみる」ことで、見える景色は確実に変わります。

まとめ:変化は「自分を知ること」から始まる

膣の乾燥というテーマは、まだまだオープンに語られにくい話題かもしれません。
でもそれは、「タブーだから」ではなく、“語る言葉がなかっただけ”なのかもしれません。

私自身が体験したように、この変化はある日突然やってきます。
そして、その変化に気づけた人から少しずつ、自分の体との関係が変わっていくのだと思います。

フェムケアは、特別なことではありません。
“自分を知る”という、とてもシンプルな日々の延長線上にあるものです。

ここで、今日からできることを3つだけ挙げてみます。

今日からできるセルフチェック3つ

違和感をスルーしていないか
「あれ?」と感じたときに、それを“なかったこと”にしていないか、自分に問いかけてみてください。

いつ・どんなときに不快感が出るか
ナプキン使用時?性交渉のあと?乾燥を感じるタイミングを、ざっくりメモしておくだけでもOKです。

自分のケア習慣に“余白”はあるか
顔や髪にかけている時間のうち、1分だけでも“自分の内側”に使えたら、それはもう立派なフェムケアです。

どれも、「ちゃんとしなきゃ」と思わなくて大丈夫。
“見ようとしてみること”が、すでに一歩です。

無理せず、自分のペースで向き合うこと

ここまで読んでくださった方へ。
あなたはもう、“自分の体を大切にしたい”と思っている人です。
それだけでもう、十分すごいことなんです。

ケアに正解はありません。
・誰かのおすすめが合わないこともある
・よさそうと思っても続かないこともある
・調子のいい日もあれば、落ち込む日もある

でも、それが“普通”なんですよね。
私たちの体は、毎日同じじゃないし、だからこそ丁寧に扱う価値があります。

無理しない。がんばりすぎない。自分のペースでいい。
自分の体と仲直りしていく過程に、「恥ずかしい」なんて、ひとつもありません。

あなたの中の小さな違和感が、未来の“心地よさ”につながっていきますように。
私の体験が、そのきっかけになればうれしいです。

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