谷澤まさみ
谷澤まさみ

「性行為が痛いのは私だけ?」そう感じた瞬間から、不安と恥ずかしさで誰にも相談できなくなっていませんか?
この記事では、痛みの原因やセルフチェック法、受診の目安まで、私自身の体験をもとにまとめました。目次を見て必要なところから読んでみてください。

性行為が痛いのはおかしいこと?正常との違いとは

「性行為が痛い」──この違和感、私も何年も気づかないふりをしてきました。だって、相談できる相手もいなかったし、「みんな我慢してるのかな?」って思っていたから。でも、ある日ふと「これって本当に普通なの?」と感じた瞬間が、私のフェムケア人生の始まりでした。

もしあなたが今、同じような不安を抱えてこの記事にたどり着いてくれたのなら、まず伝えたいのはこれです。

性行為の痛みは、“我慢すべきもの”ではありません。

ここでは、なぜその痛みが「普通ではない」かを、生活者としての視点から紐解いていきます。

痛みの感じ方には個人差がある

まず最初に知っておいてほしいのは、「痛い」と感じること自体は恥ずかしいことではない、ということです。

人の体って本当に千差万別で、同じ刺激でも快と不快の感じ方は違います。それに、生理周期・ホルモンバランス・精神的なコンディションなどによっても、膣まわりの感受性は大きく変わります。

たとえば、生理前に膣が乾燥しやすくなる人もいれば、パートナーとの関係性がうまくいっていないときにだけ痛みを感じるという人もいます。
これはすべて、「気のせい」でも「甘え」でもなく、ちゃんと理由のある反応なんです。

大事なのは、「誰かと比べる」のではなく、「自分の違和感をちゃんと拾う」こと。

その第一歩として、痛みのタイミングや強さをなんとなくでもいいので記録してみることをおすすめします。
違和感を見過ごさずに言語化していくと、「あれ?この日だけ痛くなかったな」「排卵期になると痛みが増すな」など、自分の体の傾向が少しずつ見えてくることもあります。

性交痛は「よくあること」では済まされない

ここで少し厳しめのことを言わせてください。

「性行為が痛いのは女性なら仕方ない」「最初は誰でも痛いから」
こういった言葉、何度も耳にしたことがあるかもしれません。私も、かつてはそれを真に受けていました。

でも、本当にそれでいいのでしょうか?

性交痛にはさまざまな原因がありますが、その中には放置すると悪化してしまう疾患も含まれていることを、もっと多くの人に知ってほしいと思っています。

たとえば、以下のようなケースです。

原因具体例
身体的要因膣炎、子宮内膜症、性感染症、閉経による萎縮性膣炎など
心理的要因性的トラウマ、パートナーへの不信感、自分の体に対する嫌悪感など
外的要因潤滑不足、体位の不一致、準備不足など

こうした原因が重なって、単なる一過性の痛みでは済まなくなってしまうケースもあります。

だからこそ、「みんなもそうらしいから」「我慢すればそのうち慣れるはず」と、自分の声を押し殺さないでほしい。
私がフェムケアの世界に踏み出したきっかけも、「あのときの違和感」に真剣に向き合ったことでした。

性交痛は“よくある”かもしれない。でも、“放っておいていいこと”では決してありません。

フェムケアって特別なことじゃなくて、「これって変だな」と思った時に、気軽に声をあげられることだと私は考えています。
あなたが自分の体に対して感じている違和感は、ちゃんと向き合う価値のあるものです。

次のセクションでは、では実際に「なぜ痛いのか?」をもう少し具体的にひもといていきますね。
「私だけ…?」と感じていたあの痛みの正体が、少しずつ見えてくるかもしれません。

なぜ性行為で痛みを感じるの?考えられる主な原因

「性行為が痛い」と感じるとき、私たちはつい自分を責めてしまいがちです。「自分に問題があるのかな?」「パートナーをがっかりさせてるかも…」と。でも、そうじゃないんです。

性交痛には、ちゃんと“原因”があります。そしてその多くは、あなたのせいではありません。

このセクションでは、体の仕組みとして起こるものと、心のコンディションが影響するケースの両方を、生活者目線でわかりやすく整理していきます。

身体的な原因(乾燥・炎症・病気など)

まず、性交痛の背景にはっきりとした身体的な理由があることは少なくありません。たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 膣の乾燥
    年齢にかかわらず起こりうる症状です。特に出産後やピルの使用中、更年期前後のホルモン変化によって膣内の潤いが減少すると、摩擦による痛みが生じやすくなります。
  • 外陰部や膣内の炎症(膣炎)
    デリケートゾーンに炎症があると、軽い刺激でもヒリヒリと感じます。おりものの変化やかゆみを伴うことも。
  • 性感染症(STI)
    自覚症状が少ないものもあり、気づかないうちに感染していることもあります。痛みを通じて体が知らせてくれているサインかもしれません。
  • 子宮内膜症や膣の異常
    体の奥のほうに響くような痛みがある場合、婦人科的な疾患が潜んでいる可能性があります。早期発見が大切です。
  • 萎縮性膣炎(特に更年期以降)
    エストロゲンの低下により、膣の粘膜が薄く弱くなり、性交時に傷つきやすくなります。

こうした身体的な要因による痛みは、「少し休めば治るだろう」と思って放置することで、より悪化してしまうことも。
違和感が続くときは、早めに婦人科で相談することが安心につながります。

✅ 体の痛みは「無理しないで」のサイン。がまんせずに受けとめていいんです。

心理的な原因(緊張・過去のトラウマなど)

もう一つ、見逃されがちだけどとても大切なのが心の状態です。

実は、痛みを感じる理由の中には、明確な体の異常が見つからないケースもあります。
そのときに関係してくるのが、こんな心理的な背景です。

  • 緊張・不安感
    「ちゃんと応えなきゃ」「痛くないふりしなきゃ」と思えば思うほど、体はこわばります。膣も収縮しやすくなり、摩擦による痛みが起こりやすくなるのです。
  • 過去の経験やトラウマ
    性的なトラウマや、不快な経験が記憶として残っていると、無意識のうちに体が“防御モード”に入ってしまいます。
  • パートナーとの関係性
    心が不安定なときや、信頼関係に揺らぎがあるときには、自然な興奮や潤滑が起きにくくなります。
  • 自己否定感やボディイメージ
    自分の体に自信が持てないとき、「受け入れてもらえるか不安」という思いが痛みとなって表れることもあります。

これらの心理的な要因は、病院の検査では“異常なし”と言われてしまうことが多く、「自分がおかしいのかも」とますます自信をなくしてしまいがちです。

でも私は伝えたい。あなたの感じていることは、間違ってなんかいない。
むしろその違和感は、あなた自身がちゃんと自分を守っている証拠です。

✅ 痛みは心からのSOSであることも。自分に優しく、責めないであげてください。

「私もそうだった」不安を感じた私が実際に取った3つのステップ

「性行為が痛い」と感じるとき、一番つらいのは“原因がわからない”ことかもしれません。私自身、「もしかして病気?」「私だけ変なの?」と、ひとりで悩みのループにはまっていました。

でも、ある日ふと思ったんです。“痛い”と感じることは、私が私の体の声をちゃんと聞けているってことじゃないかと。

そこから少しずつ行動してみたら、不安が「選択肢」に変わっていきました。ここでは、そんな私のステップをそのままお伝えします。どれもシンプルですが、自分を責めないためにすごく大切なプロセスでした。

ステップ1:痛みの状況を記録してみる

最初にやったのは、「どんなときに痛むのか」をメモすることです。

といっても、ちゃんとした日記じゃなくてOK。私はスマホのメモアプリにこんな感じで簡単に記録していました。

  • 日付と体調(生理周期・疲れ具合など)
  • 痛みを感じたタイミング(最初・挿入時・深いところなど)
  • 痛みの強さ(1〜10でざっくり評価)
  • 使ったアイテム(潤滑ゼリーなど)
  • パートナーとの関係性や気分

こうして少しずつ書きためていくと、「この時期は乾燥していたかも」「この前は痛くなかったな」など、自分の体の傾向が見えてきます。

✅ メモは自分自身との対話。原因がわからない不安を、“観察できる手がかり”に変えてくれます。

それに、記録をもとに婦人科で話せば、医師にも状況が伝わりやすくなりますよ。

ステップ2:信頼できる情報でセルフチェック

次にしたのは、正しい知識を得ることでした。
検索すれば山ほど情報が出てくるけれど、不安をあおる記事も多いんですよね…。だから私は、信頼できる医療サイトや、フェムケアに取り組む専門家のSNS・noteなどから、自分に必要な情報を整理していきました。

たとえば、以下のようなポイントをチェックしていました。

  • 性交痛のよくある原因にはどんなものがあるか?
  • 婦人科にかかる目安は?
  • 痛みを軽減するセルフケアはあるか?
  • 「恥ずかしい」と感じるのは普通の反応なのか?

ここでの注意点は、「自分だけで診断しないこと」。あくまで仮説を立てるための情報収集として使うことです。

✅ セルフチェックは、自分の体に対して「無関心にならない」ための第一歩。

「なんとなくおかしい気がする」を、「たぶんこの方向性かな?」に変えていけるだけでも、心は少し軽くなります。

ステップ3:婦人科を受診して相談

最後に、勇気を出して婦人科を受診しました。
正直、ここが一番ハードル高かったです。「なんて言えばいいの?」「変な目で見られないかな?」と不安でいっぱいでした。

でも、痛みの記録と、自分なりに調べたことをメモして持っていったことで、説明に困ることはなかったです。

私が伝えたのはこんなこと。

  • 性行為でどのような痛みがあるか(位置・強さ・頻度)
  • 生理周期や既往歴
  • 心理的に気になっていること(緊張・不安・過去の経験など)

先生はすごく冷静に聞いてくれて、「まずはできる検査をしましょう」と言ってくれました。
診察中に少し涙が出てしまったのですが、「痛いのにがまんしてたんですね」と言われて、思わず救われた気持ちになりました。

✅ 婦人科は「体の専門家」に相談する場所。気まずさや恥ずかしさを超えた先に、安心できる選択肢がありました。


この3つのステップを通して、私が実感したのは「自分の違和感を信じてよかった」ということ。

あなたの痛みは、がまんすべきものではありません。もしまだ、誰にも言えずにひとりで抱えているなら、ほんの少しだけでも動いてみてください。

「わたしもそうだった」。この言葉が、あなたの一歩を支えるものになりますように。

次は、受診するか迷ったときの判断ポイントについて、具体的な目安をお伝えしていきます。よければ、続けて読んでみてくださいね。

受診するか迷ったときの判断ポイント

「婦人科に行った方がいいのかも…」そう思いながらも、一歩踏み出せない。私もかつて、何度もその迷いの中にいました。

症状があっても、「こんなことで行っていいの?」とためらってしまう人は本当に多いんです。
でも、婦人科は“特別なときに行く場所”ではなくて、「ちょっと気になる」に対応してくれる場所。

この章では、受診の目安になる症状と、どうしても不安がぬぐえないときの心の整え方についてお話しします。

こんな症状があるなら受診をおすすめ

痛みがある=すぐに病気、というわけではありません。
でも、次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 性交痛が毎回のようにある、または悪化している
  • 膣や外陰部にかゆみ・しみる感じ・腫れがある
  • おりものの色やにおいがいつもと違う(黄緑・灰色・強い臭いなど)
  • 体の奥(子宮まわり)に響くような痛みを感じる
  • 発熱や倦怠感を伴う
  • 生理周期が乱れている、または極端に出血が多い

こうしたサインは、膣炎・性感染症・子宮内膜症・ホルモンバランスの乱れなどが背景にあることも
放っておいて自然に治るケースもありますが、症状が続いているなら、一度プロに確認してもらうのが安心です。

✅ 婦人科は「不安を確かめる場所」。なにかが見つかっても、それは「対処できる」第一歩です。

受診すること=深刻な病気の告知、というわけではありません。
何もなければそれでOK。何か見つかれば、それに合ったケアを始められる。それだけのことです。

受診が不安なときの心構えと対処法

「そうは言っても、婦人科ってなんだかハードル高くて…」
この気持ち、すごくわかります。私も最初は、緊張で受付前からドキドキしていました。

だからこそ、私なりに取り入れていた“受診前のセルフケア”があります。

  • 事前にメモを準備しておく
    伝えたいことをあらかじめ箇条書きにしておくだけで、診察時に言葉が出やすくなります。
  • 婦人科クリニックの口コミや雰囲気を事前に確認
    SNSや医療サイトのレビューなどで、「親身に話を聞いてくれる」「女性医師がいる」など、自分に合いそうな病院を選ぶと安心です。
  • 診察前に深呼吸して、「相談しに行くだけ」と言い聞かせる
    治療をするかどうかは診察の後に決めればいい。まずは「話してみること」がゴールでいいんです。

そして何より、自分にこう言ってあげてください。

「今、私は自分を大事にしようとしてるんだ」って。

誰かのためではなく、自分の体と向き合うための一歩です。
「大げさだったらどうしよう」とか「気にしすぎかも」と思うかもしれませんが、あなたが気になった時点で、それは受診する理由になります。


婦人科って、もっと気軽に使っていい場所なんです。
無理に強がらなくていいし、恥ずかしがらなくていい。

あなたの「なんか変かも」を否定せず、受けとめてくれる存在は、必ずいます。

よくある質問と不安への答え

性行為の痛みについて考え始めると、「これって普通?」「みんなはどうしてるの?」と、不安が次々に湧いてきますよね。
私のもとにも、SNSやイベントなどで本当にたくさんの声が届きます。

ここでは、多くの方が感じている代表的な疑問に、ひとつひとつ丁寧にお答えしていきます。
誰にも聞けなかったこと、あなたの中でもやもやしていたことが、少しでも軽くなりますように。

私だけ?性行為が痛いのは珍しい?

いいえ、決してあなただけではありません。
これは断言できます。むしろ、「痛いけど誰にも言えなかった」という声の多さに、私自身が何度も驚かされてきました。

性交痛は、医学的には「性交時疼痛症(dyspareunia)」と呼ばれる症状で、20〜30代の女性の中でも珍しくないとされています。
とある調査では、女性の4人に1人が「性行為で痛みを感じたことがある」と答えているデータもあります。

でも、日本ではまだこのテーマがオープンに話されにくい雰囲気がありますよね。

だからこそ、痛みを感じたときに「私が変なのかも」と自己否定に向かいやすくなってしまう。
でも、性交痛は一人の問題じゃなくて、社会がもっと話していくべき“ケアすべき体の声”なんです。

✅ あなただけじゃない。声に出せなかっただけで、同じように悩んでいる人はたくさんいます。

このページにたどり着いた時点で、あなたはもう「大事な一歩」を踏み出しています。
それだけで、すごく意味のあることなんです。

恥ずかしくて病院に行けないときはどうする?

この気持ち、すごくよくわかります。私も初めて婦人科に行ったとき、受付で保険証を出す手が震えていました。

「どこまで話せばいいんだろう?」
「こんなことで受診しても大丈夫かな…」
「性のことって、やっぱり恥ずかしい…」

こういう迷いって、理屈じゃなく“感情”の問題なんですよね。

そんなときは、いきなり受診しなくても大丈夫。まずは段階を踏んで、自分の安心感を整えることから始めてみてください。

たとえば:

  • ネットで病院の口コミを見て、「話しやすそう」と感じたクリニックをブックマークしておく
  • 友人やSNSで、受診経験のある人の体験談を読んでみる
  • 婦人科の無料チャット相談や、電話相談などを活用する

それでもどうしても足が向かないときは、信頼できるフェムケアブランドやカウンセラーに相談してみるのも一つの方法です。最近はオンラインでのサポートも充実してきています。

✅ 恥ずかしいのは、あなただけじゃない。だからこそ、準備していい。段階を踏んでいい。

誰だって最初は怖いし、知らない場所に行くのは緊張します。
でもそれは、自分を大切にしたいからこそ出てくる感情なんです。

「なんとなく気になるけど、まだ怖い」その気持ちも、ちゃんと尊重してあげてください。
大丈夫。あなたのペースで、少しずつでいいんです。


次はいよいよラスト。ここまで読んでくれたあなたが、自分の体とどう向き合っていけばいいか――
最後にもう一度、整理してお伝えしますね。


まとめ:自分の体に正直になって、違和感を放置しないために

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

「性行為が痛い」と感じたとき、
多くの人がそのままにしてしまうのは、「自分のせいかもしれない」と思ってしまうからです。
でも、何度でも伝えたいのは──

あなたの体の声は、あなたを守るためのサイン。
それを無視する必要なんて、どこにもありません。

この記事でお伝えしてきたように、性交痛にはいろいろな原因があります。
だからこそ、「みんなもそうなんだろう」で済ませずに、“私にとっての違和感”をちゃんと見てあげることが大切なんです。

もう一度、今日のポイントを整理しておきましょう。

  • 性交痛は珍しいことではない。でも、放置すべきことでもない
  • 原因は身体・心理の両面にある。どちらもあなたのせいではない
  • 「記録」「情報収集」「受診」の3ステップで、無力感を希望に変えられる
  • 恥ずかしさや不安は自然な感情。段階を踏んで進めばいい

フェムケアとは、「何かあったときにがまんすること」ではなく、日常の中で選択できること
違和感をがまんしないあなたは、すでにフェムケアを始めているんです。

どうか、「大げさかな?」なんて思わずに。
小さな不快感こそ、大きな安心への入り口です。

そして、この記事があなたのその一歩の後押しになっていたら、心からうれしく思います。

私も最初は、痛みにフタをしていました。
でも今は、それをきっかけに自分の体とちゃんと向き合えるようになりました。

「私の体は、私が守っていい」
そう思える人が、もっと増えますように。

あなたの違和感が、「知る」「選ぶ」「整える」きっかけになりますように。
これからも、自分のペースでケアを続けていってくださいね。

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