谷澤まさみ
谷澤まさみ

サイズ展開の幅を広げた結果、SやXLなどの“端っこ在庫”が残ってしまう…。処分に悩むアパレル担当者さんへ、ブランドを守りながら在庫を活かすヒントをお届けします。目次を見て必要なところから読んでみてください。

アパレル業界にありがちな「サイズ端数在庫」問題とは?

どんなに丁寧に企画された商品でも、「このサイズだけが最後まで売れ残ってしまう…」という経験は、アパレル業界では決して珍しくありません。とくにSサイズやXLサイズなどの“端っこサイズ”は、在庫として抱えるリスクが高く、そのままでは廃棄や値引き処分につながることも。でも、その在庫、本当に「不要なもの」なのでしょうか?今回は、そんな端数在庫の背景と、そこにある“もったいない”の価値について一緒に考えてみたいと思います。

なぜSやXLなど“端っこサイズ”が残るのか?

アパレル商品の企画段階では、S〜XLといった幅広いサイズ展開を求められることがほとんどです。できるだけ多くの体型の方にフィットしてもらいたいという、ブランドのやさしさや誠実さがにじんでいますよね。

ただ、現実にはMサイズやLサイズに需要が集中しやすく、SやXLといった“端っこサイズ”は余りがちです。その理由としては…

✅ Sサイズはそもそもの需要が少ない
✅ XLサイズは試着なしでは買いづらく、店舗にないと購入されにくい
✅ ECサイトではサイズ感の不安が購入をためらわせる

つまり、売れ残るのは「人気がないから」ではなく、購入までの障壁がちょっと高いからなんです。

また、セールで価格が下がっても「自分のサイズがない」となると、お客様はすぐに離脱してしまいます。逆に言えば、サイズ端数の在庫こそが、お客様との“出会い損ねたご縁”なのかもしれません。

廃棄や値崩れによるブランド毀損のリスク

サイズ端数の在庫を「余剰」として扱い、最後には廃棄処分という選択をしてしまう。これは、多くのアパレル企業が直面している現実です。でも、その選択が本当にブランドにとってプラスなのでしょうか?

在庫の廃棄には、目に見えない3つのコストがかかっています。

コストの種類内容
金銭的コスト廃棄費用・物流費などが発生
環境的コスト可燃ごみによるCO₂排出、資源の無駄遣い
ブランドイメージの損失「大量廃棄するブランド」としての印象

この表が示す通り、ただ在庫を処分するだけでは、大切なブランドの価値まで一緒に手放してしまう可能性があるんです。

さらに、値下げによって短期的に在庫をさばけたとしても、「このブランドはすぐに値下げする」といった価格のイメージが定着してしまうと、次のシーズン以降の定価販売に影響が出てしまうことも。

廃棄や値崩れではなく、“ブランドを守りながら活かす方法”があるなら、そちらを選びたくなりますよね。在庫は「失敗の証」ではなく、「もうひと工夫で出会えるお客様がいる可能性のかたまり」なのです。

次は、その在庫をどう“活かす”か。ブランド価値を守りながら、サステナブルに循環させるための選択肢をご紹介していきます。

よくある在庫処分の落とし穴と限界

谷澤まさみ
谷澤まさみ

「とりあえずセールで処分しよう」「アウトレットに流せばなんとかなる」――そんなふうに在庫を整理してきた経験、ありませんか?
確かに、短期的には売上に貢献してくれる方法かもしれません。でも、そのやり方には、見落とされがちな“代償”がついてくることも多いのです。ここでは、アパレル業界でよく使われている在庫処分方法が、なぜ中長期的には限界を迎えるのかを、少し立ち止まって考えてみましょう。

セール・アウトレット販売では利益が出にくい理由

セールやアウトレットは、一見すると「在庫も売れるし、お客様もお得でハッピー」というように見えます。でも、実際には売れるほどに“利益を圧迫”してしまう構造になっていることも。

その理由を、3つに整理してみました。

想定より大幅な値引きが必要になる
 → 想定利益率が保てず、下手をすれば赤字に。

プロモーションコストがかさむ
 → セール情報を広めるための広告費や送料などが追加で発生。

“定価で買いたい”お客様の信頼を失うことも
 → 「待てば安くなるなら、定価では買わない」と考える人が増えやすいです。

つまり、「売れたけど、利益にならなかった」「次のシーズンの売れ行きが鈍った」なんてことも、少なくないんですね。

特にブランド価値を大切にしている企業さんほど、“安さ”を武器にした在庫処分は本来望んでいないはず。だからこそ、価格だけに頼らない解決策が必要です。

廃棄コストや環境負荷という見えない損失

「売れないなら、もう処分するしかない」
そう思って、倉庫から静かに姿を消していく商品たち。けれど、その選択にも決して小さくない“コスト”がかかっています。

たとえば…

廃棄にかかる主なコスト内容
経済的損失廃棄処理費、輸送費、再梱包などの手間
環境負荷CO₂排出、焼却エネルギー、ゴミ増加
社会的信用の低下サステナビリティへの関心が高まる中、「廃棄企業」のレッテルがリスクに

表にあるように、廃棄はただの「在庫整理」ではなく、ブランドの姿勢そのものが問われる行為なのです。

特に最近は、「このブランドは環境に配慮しているか?」という視点で選ぶお客様が増えていますよね。だからこそ、在庫の扱い方は“未来のお客様との信頼関係”に直結しているといっても過言ではありません。

「売れなかったから処分する」ではなく、「活かすための道を探す」ほうが、今の時代に合った選択かもしれません。

次はその“活かす道”について、具体的な方法を見ていきましょう。きっと、新しい可能性が見えてくるはずです。

ブランドを守りながら在庫を“活かす”3つの方法

谷澤まさみ
谷澤まさみ

売れ残った在庫を、ただ「余剰」と見るか、それとも「次の可能性を秘めた資源」と見るか。
この視点の違いが、ブランドの未来を大きく左右すると私は思っています。

処分せずに“活かす”ためには、価格を下げる以外の選択肢が必要です。そしてそれは、単に在庫をさばくためではなく、ブランドの価値を守りながら次のつながりを生む工夫でもあります。

ここでは、ブランドイメージを損なわず、しかもサステナブルに在庫を循環させるための3つの具体的な方法をご紹介します。

会員制ECでの限定販売

「アウトレット販売はしたいけれど、誰でも買える場所で出すとブランドの価格基準が崩れる…」
そんな悩みを持つブランドにとって、“クローズドな販路”は安心できる選択肢になります。

たとえば、会員制ECサイトを活用した限定販売
この仕組みでは、

✅ 商品情報はオープンだけど、購入できるのは登録会員のみ
✅ 販売価格が外に広がらず、ブランドイメージを守れる
✅ サステナブルな買い方に共感する人に届けられる

というメリットがあります。

「誰に買われるか」を選べることが、ブランドにとってはとても大きな安心材料になりますよね。
この仕組みをうまく活用すれば、売れ残りという課題が「ブランド価値と社会貢献を両立する機会」に変わるのです。

シーズン・用途を変えての再訴求

「このデザイン、今の季節だとちょっと売れにくい」
そんなときこそ、“視点を変える”チャンスです。

たとえば、春先に売れ残った薄手のカーディガン。
夏の冷房対策アイテムとして「冷房避けカーデ」として再提案してみると、意外なほど反応が変わることがあります。

✅ 夏のオフィス冷え対策
✅ 秋口の「ちょい羽織り」需要
✅ 旅行用の軽アウターとしての提案

「この商品、別のシーンで使えるかも?」という気づきを促すことで、眠っていた在庫が新たな価値を持ち始めます。

とくに近年は、ファッションアイテムにも「用途重視」で選ぶお客様が増えています。だからこそ、“使い方提案”の一手間が、在庫を再び主役に押し上げてくれるのです。

アップサイクルやコラボで付加価値をつける

もし、「そのままでは販売が難しい」状態の在庫があるなら、アップサイクルという選択肢もあります。

例えば…

✅ 小さなキズがあるシャツ → トートバッグやポーチにリメイク
✅ 不揃いサイズのパンツ → キッズ向けやユニセックスアイテムとして再設計
✅ アーティストや学生とのコラボで一点モノに再生

このような取り組みは、サステナブルな価値観に共感する人たちに強く響きます
そして何より、商品に込められた「物語」や「想い」が、もう一度お客様の心に届くきっかけになるのです。

さらに、アップサイクル商品はSNS映えしやすく、ファンとの関係性を深めるうえでも効果的。
「再利用だけど、ただのリサイクルじゃない」そんな特別感が、ブランドに新たなイメージを添えてくれるのです。


“売れなかった商品”にも、まだできることはたくさんあります。
それを諦めずに“活かす”ことができたなら、そのブランドの真価は、きっともっと広がっていくはずです。

「サステナブル」と「利益化」を両立させる販路戦略

谷澤まさみ
谷澤まさみ

「サステナブル=利益にならない」なんて、もう昔の話かもしれません。
環境に配慮しながら、ちゃんと利益を出して、ブランド価値まで高めていく。そんな“いいとこ取り”の販路戦略が、今の時代に求められているのだと感じています。

特に在庫という“眠っていた価値”を再び活かすには、売り方の工夫がカギになります。ここでは、ブランドイメージを守りながらサステナブルに売るための「新しい販路のあり方」をご紹介します。

クローズドバイイングモデルのメリット

「セールはしたい。でも安売りのイメージはつけたくない」
これは多くのブランドが抱えるジレンマです。

そこで注目されているのが、クローズドバイイングモデルという販売方式。
簡単に言うと、「商品情報は誰でも見られるけれど、実際に購入できるのは会員だけ」という仕組みです。

このモデルには、こんなメリットがあります。

ブランド価格帯を守れる
 → 会員限定の販売により、一般市場での価格競争に巻き込まれにくくなります。

セグメントされた“共感層”に届けられる
 → サステナブルやエシカルに関心のある層と、自然なマッチングが可能です。

売上と社会的意義が両立できる
 → 単なる値引きではなく、「在庫を救う」というストーリーとともに商品が届けられます。

特にアパレルのようにブランドイメージが重要な業界では、「誰にどう見せるか」がとても大切。
オープンに見せつつ、クローズドに売る。 この設計があることで、価格と価値のバランスをきちんと守れるのです。

エシカルな購買行動を生む「共感消費」へのシフト

いま、モノが売れる理由は「価格」だけではありません。
むしろ、「その商品が、どんな背景を持っているか」に関心を寄せる人が増えているのを感じます。

たとえば、

✅ 「本当は捨てられるはずだったけど、私の手元に届いた」
✅ 「この商品を買うことで、少しでもフードロスや環境問題の解決につながる」

そんな背景があるだけで、買う行動そのものが“共感”や“参加”になっていくんですよね。

このような消費のことを、私たちは「共感消費」と呼んでいます。

とくにエシカル消費に関心を持つ方々は、「安いから」ではなく「意味があるから」選びたいと思っていることが多いんです。
だからこそ、商品のストーリーや背景をしっかり伝えれば、単なる在庫も“買う価値のある商品”に生まれ変わる可能性を秘めています。

今の時代、買い物は“応援”でもあります。
誰かの想いに共感し、未来に手を差し伸べるような選択を、きっともっと多くの人が望んでいます。
サステナブルに、そして利益も出せる販路を作るには、そんな“共感の力”を信じて届けていくことが大切なのだと思います。

OEFという選択肢|端数在庫に新たな出口をつくる方法

谷澤まさみ
谷澤まさみ

これまで「処分するしかなかった」と思っていた在庫に、もう一度、価値を与えることができたら——。
それはただの在庫整理ではなく、ブランドの未来を守りながら社会貢献にもつながる選択肢になります。

そんな“新しい出口”のひとつとして、私たちが取り組んでいるのがOEF(Outlet, Ecology, Foodloss)というエシカルECプラットフォームです。
ここでは、「安く売る」ではなく、「意味のある買い物をつくる」という視点で、端数在庫の新しい循環を目指しています。

商品情報はオープン、購入は会員限定の安心設計

OEFでは、商品情報や価格は誰でも見ることができます。
でも実際に購入できるのは、月額制のサブスク会員だけという「クローズドバイイングモデル」を採用しています。

この設計には、こんな安心感があります。

誰でも見られるから、透明性がある
 → 消費者に対して“こっそり安売り”という印象を与えません。

購入は選ばれた会員だけに限定
 → ブランド価値を守りながら、特定の人にだけ販売できる設計です。

価格破壊につながらない
 → 市場価格への影響を最小限に抑えることができます。

この「見えるけど、買えるのは限られた人だけ」という仕組みが、“信頼感”と“ブランド保護”の両立を可能にしているんです

廃棄コストを利益に変える“エシカル販路”

OEFが大切にしているのは、「売れ残ったから安くする」のではなく、
「もったいないを次の誰かに届ける」という循環の視点です。

本来であれば、廃棄処分の対象になっていた商品たち。
それをOEFを通して届けることで、廃棄コストはゼロになり、むしろ“売上”というかたちで戻ってくるのです。

そして、何よりうれしいのは…

✅ 「この商品に、もう一度チャンスがあってよかった」
✅ 「フードロスを減らせて、買い物が気持ちよかった」

そんな声を、購入者の方々からたくさんいただけること。

“売る”ことと“社会の役に立つ”ことが矛盾しない
そんな販売の仕組みをつくれるのは、OEFのようにエシカルな視点と、実際の利益を両立できる設計があるからだと思っています。


端数在庫は、「売れ残り」ではなく「まだ選ばれ待ちの商品」なのかもしれません。
OEFという選択が、その商品たちに新しいステージを与える一歩になりますように。

👉 OEFを使った在庫処分の成功事例はこちらから読めます

✅ 在庫処分に悩んでいる
✅ ECに出したけど広告費ばかりかかる
✅ ブランド価値を守りながら売りたい
その悩み、OEFでまるごと解決できます!
初期費用を抑えて、今ある在庫を新しい売上に。