谷澤まさみ
谷澤まさみ

毎月やってくるPMSのつらさ。「これって普通?」「どうにかならないの?」と悩んでいた私が、低用量ピルという選択肢にたどり着くまでの実体験をまとめました。目次を見て必要なところから読んでみてください。

PMSのつらさと向き合った日々(実体験ベースの共感)

「毎月来ることはわかっているのに、どうしても慣れなかった」ーーそれが私のPMSとの関係の始まりでした。
この章では、PMS(月経前症候群)による心身の不調が、生活や人間関係にどんな影響を与えていたか。そして、「ただの我慢」で済ませるにはあまりにも大きな代償があったことを、当時の体験をもとに綴ります。同じように悩んでいる方に、「わたしだけじゃなかった」と感じてもらえたら嬉しいです。

繰り返す不調と生活への影響

PMSと最初に意識したのは、20代後半になってから。
それまでも生理前にちょっとした頭痛や眠気はありましたが、「みんなあるよね」と思ってスルーしていました。

でも、ある時から様子が変わり始めたんです。朝起きても身体が鉛のように重く、食欲が乱れ、何をしても集中できない。特に仕事では、

  • 契約書の数字が目に入ってこない
  • 顧客対応中にイライラしてしまう
  • 残業になると、急に涙が止まらなくなる

こんな日が毎月、数日ではなく1週間以上続くこともありました。

しかもその後には、生理本番の腹痛や眠気、だるさが追い打ちをかける。月の半分以上を「本調子じゃない」状態で過ごしていることに、ふと気づいたとき、正直ゾッとしました。

「これって、普通?」
誰かに聞きたくても、なんとなく恥ずかしくて言えなかったんですよね。

気分の浮き沈みと人間関係のストレス

体調以上に辛かったのが、メンタルの波です。

普段は明るく前向きに振る舞えても、生理前になると急に世界がグレーに見えるような感覚に襲われて。
何気ない一言に傷ついたり、些細なことで怒ったり泣いたり。そんな自分を自分でコントロールできないことが、何より苦しかったです。

当時付き合っていたパートナーから
「またそういう時期?」「俺、何かした?」
と聞かれるたびに、ますます自己嫌悪に陥っていました。

もちろん彼には悪気がない。でも、私自身が説明できないつらさを抱えていたから、余計に距離を感じてしまったんですよね。

職場でも同様で、感情の起伏が激しい人と思われていないか、ずっと気にしていました。

  • 同僚との雑談にうまく入れない
  • チームワークを乱してしまうのではと不安になる
  • 指摘されると、必要以上に落ち込んでしまう

PMSって、ただの体調不良じゃなくて、自己肯定感や人間関係にまで影響するんだ。
ようやくそう認識できたのは、かなり後になってからのことでした。

どうしても抜け出せなかった「毎月の不安」

PMSがつらいとわかっていても、「来月こそは大丈夫かも」と、どこかで期待してしまう。
でも現実は、また同じようにしんどい。

そして、「また来た」「またか」と、カレンダーを恨めしく眺める日々。
毎月がそんな繰り返しで、未来に希望が持てないような感覚さえありました。

何かに集中したくても、体も心も言うことを聞かない。
「私、ずっとこのままなのかな?」と、不安と諦めの中間にいるような気持ち。

仕事も恋愛も、うまくいかないのは全部PMSのせいなんじゃないか。
でも、PMSのせいにする自分は甘えているのかもしれない。

そんなふうに、自分を責めてしまう日も少なくありませんでした。

だけど今、こうして言えるのは、「あの時の私には、選択肢がなかった」ということ。
PMSのつらさを言語化する機会もなければ、それに対するケアがあることも知らなかった。

だからこそ、この体験を通じて伝えたいんです。
✅ PMSは“がまん”するものじゃない
✅ 自分を責める必要もない
✅ ケアは「選んでいい」もの

次の章では、そんな私が「低用量ピル」という選択肢に出会ったきっかけをお話しします。
ここから、少しずつ景色が変わっていきました。

低用量ピルとの出会いと選択(なぜ選んだのか)

「もう少しだけ、ラクに過ごせる方法はないのかな?」
PMSのつらさを何とかしたい。でも、何をどうすればいいかわからない。そんな時に見つけたのが「低用量ピル」でした。この章では、私がピルという選択肢にたどり着いたきっかけと、実際に始めるまでの心の動きをお伝えします。専門的すぎる話ではなく、“生活者としてのリアル”を大切に綴ります。

何をきっかけにピルを検討したのか

最初のきっかけは、ある友人の一言でした。
「私、ピル飲み始めてから、生理もPMSもかなりラクになったよ」

正直、その時はびっくりしました。
「え? ピルって避妊のための薬じゃないの?」

当時の私の中には、

  • ピル=性に奔放な人が飲むもの
  • 健康な人が飲むにはリスクがある
  • そもそも病院に行くのがめんどくさい

そんな偏見と誤解がたくさんありました。

でもその友人は、ごく自然に「ケアのひとつ」としてピルを取り入れていて。
しかも、服用後はPMSのイライラがかなり減ったと言っていたんです。

その言葉に、私は初めて「私にも、もっと選べる方法があるかもしれない」と気づきました。

情報収集と医師への相談

そこからは、とにかく調べました。
「低用量ピル PMS」「ピル 副作用」「婦人科 初診」など、夜な夜な検索魔に。

✅ PMSの原因のひとつが、ホルモンの急激な変動であること
✅ ピルには、ホルモンの波を穏やかに保つ作用があること
✅ 産婦人科で保険適用になるケースもあること

そういった情報を知るたびに、少しずつ不安よりも期待が勝っていったのを覚えています。

ただ、ネットの情報だけでは限界がありました。
だから思い切って、婦人科に足を運ぶことにしたんです。

正直、ドアを開けるまでずっと心臓がバクバクしてました。
でも、いざ診察を受けると、先生は淡々と、でも丁寧に話を聞いてくれて。
PMSの状態や、今感じている不調を一つずつ整理しながら、ピルの選択肢を提案してくれました。

「あなたのPMSは、ホルモン変動型の可能性が高いですね」
そう言われた時、ようやく自分の不調に“名前”がついたような気がして、少し涙が出ました。

最初は不安だった「ホルモン薬」

もちろん、すぐに「よし、始めよう!」とはなりませんでした。
「ホルモンを体に入れるなんて、大丈夫なの?」
そんな疑問と不安が、ずっと頭の中にありました。

特に気になったのは、以下のような点です。

  • 飲み始めたらずっと続けなきゃいけないの?
  • 副作用で太ったり、気分が悪くなることは?
  • 将来、妊娠できなくなったりしない?

このあたりは、医師との対話がとても重要でした。
私の場合、
✅ 副作用のリスクはゼロではないが、数週間で慣れる人が多いこと
✅ 太るというよりは、むくみや食欲変化を感じる人がいる程度なこと
✅ 妊娠への影響は基本的になく、服用をやめれば自然に戻ること

そうした点を一つずつ丁寧に説明してもらい、ようやく「やってみよう」と思えたんです。

ピルは魔法の薬ではないけれど、“わたしの暮らしを整える道具のひとつ”として捉えるようになりました。
選択の幅が広がるって、こんなにも安心できることなんだと実感した瞬間です。

ピルを使い始めて実感した変化(どう変わったか)

低用量ピルを飲み始めてすぐに劇的に何かが変わるわけではありませんでした。
でも、数週間、数ヶ月と続けるうちに、「あれ? 前よりラクかも」と感じる場面が確実に増えていったんです。
この章では、私が実際に体感した“3つの変化”について具体的にお話しします。

気分の安定と日常生活の改善

まず一番に感じたのが、気分の波が穏やかになったことです。

以前は、

  • 生理前になると無性にイライラしたり
  • 急に悲しくなって涙が出たり
  • 「もう全部やめたい」と思うことさえあったり

とにかく感情がジェットコースターのようで、仕事にも恋愛にも支障が出ていました。

それが、ピルを飲み始めてからは明らかに気分がフラットになっていったんです。
大きく落ち込んだり、逆に妙にハイになったりすることが減り、気持ちの「安定ベース」が整ったような感覚がありました。

もちろん、毎日がバラ色になるわけではありません。
でも以前のような、感情に振り回される感覚がグッと減ったことは、私にとって本当に大きな変化でした。

✅ 仕事の予定も立てやすくなり
✅ 人間関係での無用な摩擦も減り
✅ 自分に対する自己嫌悪も少なくなった

ほんの少し、心に“余白”ができたような。そんな感覚が日常の中に生まれたんです。

生理痛や周期の変化

ピルの効果はメンタルだけじゃありませんでした。
生理そのものがラクになったのも、かなり嬉しい変化のひとつです。

それまでの私は、

  • 生理のたびに痛み止めが手放せなかったり
  • 突然くる出血で下着を汚してしまったり
  • 周期がバラバラで予定を立てづらかったり

と、毎月の“事件”に振り回されていました。

でもピルを始めてからは、
生理周期がぴったり28日で安定するようになり
✅ 出血量もグッと減って
生理痛もほとんど感じない日が増えたんです

予定が立てやすいというだけでも、心の負担がかなり軽くなりました。
旅行や大事な仕事と生理が重なるストレスも減り、「自分の体とちゃんと向き合えている」という実感が持てるようになりました。

周囲との関係性にも好影響

ピルを飲むことで体調が整い、気分が安定すると、自然と人との関わり方も変わっていきました。

私自身が感情的になりすぎずにいられることで、

  • パートナーとの会話も落ち着いてできるようになり
  • ちょっとした言い方やタイミングでイライラしなくなり
  • 「自分ばっかり我慢してる」という被害者意識が減っていった

これは本当に意外な効果でした。

また、PMSのことをオープンに話せるようになったのも大きな変化でした。
「今ちょっと不安定な時期なんだ」って、気負わずに言えるようになった。
それだけで、周りの理解や協力も得やすくなっていったんです。

自分の状態を理解し、言葉にできることって、こんなにも関係性を変えるんだ。
そんな気づきも、ピルを通じて得た大きな学びでした。

低用量ピルを始める前に知っておきたいこと(副作用や注意点)

ピルは確かにPMSのつらさをやわらげてくれる有力な選択肢のひとつです。でも、それは“誰にでも、必ず合う”という意味ではありません。私自身、実際に使ってみるまでにいくつかの不安や戸惑いがありました。この章では、始める前に知っておきたい大切なポイントを3つに分けてお伝えします。大事なのは、情報を知ったうえで「納得して選ぶ」ことです。

副作用・合う合わないには個人差がある

低用量ピルは、体内のホルモンバランスをコントロールする薬です。そのため、作用の出方にはどうしても個人差があります

私の場合、最初の2週間は少しむくみを感じたり、寝起きが重だるく感じることがありました。
ただ、それらは時間とともに落ち着いていき、1〜2か月後には体が慣れてきたのか、ほとんど気にならなくなりました。

ただし、中には以下のような副作用が長引いたり、体に合わない方もいると聞いています。

  • 頭痛や吐き気
  • 不正出血が続く
  • 気分の落ち込みがひどくなる

合わないと感じたときは、無理せず医師に相談することが大切です。
「気のせいかな」と我慢しないでいい。自分の体に合った方法を見つけることが、何より優先です。

医師の判断で処方されるもの

低用量ピルは、市販薬のように誰でもすぐに買えるものではありません。必ず医師の処方が必要です。

その理由は、以下のような要因を医師が丁寧にチェックしてくれるからです。

  • 血栓症のリスク(体質や喫煙習慣など)
  • 服用中の他の薬との相互作用
  • 持病や体質に合っているか

ピルには種類もいくつかあり、「PMS向けに使われるもの」「避妊効果が主のもの」など、ホルモンの配合も異なります。

自分でネットで買って使うことも一応は可能な時代ですが、それはあまりおすすめできません。
なぜなら、“医師が状態を見て選んでくれる”というプロセスこそが、ピルを安心して使うための大切なステップだからです。

私は最初、婦人科に行くのに勇気がいりましたが、「病気じゃなくても受診していい」という言葉に背中を押されました。

自己判断で始めないための注意点

ピルは“使い方を間違えなければ”とても心強い存在です。
でも逆に言えば、自己判断で始めてしまうとリスクになることもあるということ。

特に注意したいのが次のようなケースです。

  • 飲み忘れを自己流で調整してしまう
  • ピルをやめたらすぐ妊娠しないと思い込んで避妊しない
  • 副作用を放置して服用を続けてしまう

こうした間違いを防ぐためにも、

✅ 定期的な診察で状態を確認してもらう
✅ 服用に関する説明をしっかり受けておく
✅ 疑問があればすぐに相談する

この3つを基本にしておくと安心です。

また、周囲の偏見や無理解に惑わされないことも大事なポイントです。
「ピル=避妊」というイメージだけで見られがちですが、それはほんの一部にすぎません。

PMSに苦しむ人が、日常を取り戻すための“医療的サポート”のひとつとして、もっと正しく広まってほしい。そう強く感じています。

よくある疑問と誤解(Q&A形式)

ピルに興味を持ったとき、真っ先に気になるのが「副作用」や「将来への影響」ではないでしょうか。私も最初は、ネットの情報や人づての噂に振り回されて、不安ばかりが募っていました。この章では、私自身が感じた疑問や、周囲からよく聞かれる質問にQ&A形式でお答えしていきます。不安の正体がわかれば、冷静に判断できるようになります。

ピルを飲むと太るって本当?

A:一概に「太る」とは言えません。
一部の人が「太った」と感じるのは事実ですが、それにはいくつかの要因があります。

✅ ホルモンバランスの変化で水分をためこみやすくなること
✅ 食欲が少し増えたことで無意識に食べ過ぎてしまうこと
✅ PMSが軽減されて「食欲暴走期」が落ち着き、逆に体重が安定する人もいること

私自身は、ピルを始めた直後に少しむくみを感じましたが、それも1ヶ月ほどでおさまりました。体重はほとんど変わっていません。

大切なのは、「体質によって違う」という視点。
医師と相談しながら自分に合うタイプを選べば、必要以上に心配することはないと感じています。

将来の妊娠に影響はある?

A:基本的にはありません。
これは私も一番気になっていたことでした。
でも実際には、ピルをやめれば自然な排卵が戻る人がほとんどです。

また、こんなメリットもあります。

  • 生理周期が整って妊娠しやすい時期がわかりやすくなる
  • 子宮内膜症や排卵痛のリスクを軽減できる
  • 将来の妊活に向けて、ホルモンバランスを整える“準備”になることもある

ただし、もともと不妊リスクのある人にとっては個別対応が必要な場合もあるため、自己判断ではなく、医師と相談しながら進めることが大前提です。

ピルを飲んだから妊娠できなくなる、というのは誤解だと私は思います。

飲み忘れたらどうする?

A:24時間以内なら、すぐに1錠を飲めば大きな問題にはなりません。
でも、これもピルの種類や飲み方によって対応が変わるので、医師の説明はしっかり聞いておくことが大切です。

一般的な対応としては:

  • 1回だけの飲み忘れ(24時間以内)
     → 気づいた時点ですぐ1錠飲む。次回も通常どおり飲む。
  • 2回以上の飲み忘れ
     → 飲み方によっては避妊効果が下がるため、医師や薬剤師に確認を

また、飲み忘れが多い人は、スマホのリマインダーやピルケースを使うと便利です。
私も最初は「うっかり」が多かったですが、生活の中に組み込んでしまえば、自然と習慣化できます。

「完璧じゃなくてもいい。大切なのは“続けられる方法”を見つけること」
これは私自身がピルと向き合ってきた中で実感したことです。

まとめ:PMSと向き合う手段のひとつとしてのピル

ここまで読んでくださった方は、きっとご自身のPMSに対して「どうにかしたい」という思いを抱えている方だと思います。私も同じように、もがきながらたどり着いたひとつの手段が「低用量ピル」でした。でも、それがすべてを解決するわけではありません。この章では、私なりに感じたPMSとの向き合い方の“本質”を、3つの視点でまとめてみます。

ピルは魔法の薬ではないが、選択肢にはなる

ピルを使ったからといって、突然人生がバラ色になるわけではありません。
でも、「つらさが軽くなった」「自分の心と体が、ちゃんとコントロールできる気がした」
そんな実感が少しずつ積み重なったことで、私はようやく「毎月が怖くなくなった」と感じられるようになりました。

✅ ピルはあくまでひとつの選択肢
✅ 人によって合う・合わないがある
✅ 自分が納得して選ぶことが、いちばん大事

どんなケアも、“自分を責める理由”ではなく、“自分をいたわる手段”であってほしい。
それが私のいちばんの願いです。

自分の体調を記録することの大切さ

ピルを飲むかどうかにかかわらず、体調を「見える化」することはとても大切です。
なぜなら、

  • 不調のタイミングや傾向に気づける
  • 気分の波と身体症状の関連がわかる
  • 医師に相談する際の材料になる

といったメリットがあるからです。

私自身、PMS日記のようなものをつけるようになってから、
「あ、今はホルモンの影響かも」と冷静に自分を見つめられる瞬間が増えました。

完璧に毎日書く必要はありません。
✅ カレンダーに一言メモするだけでもOK
✅ アプリを使うのもおすすめです

“自分の調子を記録する”ことは、未来の自分を助けることにつながります。

悩んでいるなら、まずは専門家に相談を

どれだけネットで調べても、「自分の場合はどうなの?」という問いには限界があります。
だからこそ、一度プロの目で見てもらうことを、私は強くおすすめします。

婦人科に行くのがこわい、恥ずかしい、そんな気持ちもよくわかります。
でも今は、「不調を抱える女性を支えたい」と考えている医師やクリニックも増えています。

「何を話したらいいかわからない」という方こそ、
✅ 生理前の気分や体調をメモして持っていく
✅ 質問したいことをあらかじめ書き出しておく

この2つを準備するだけで、受診のハードルはグッと下がります。


PMSと向き合うことは、自分を理解し、大切に扱うこと。
それができるようになると、日々の見え方が変わってきます。

そして、ひとりで悩まずに「誰かに話してもいい」「選んでもいい」と思えた瞬間に、ケアは始まっているのだと、私は信じています。

✅ 毎月の不調に悩んでいる方へ。
✅ もし少しでも、この記事が背中を押せたなら。
✅ それが、わたしの発信の意味です。


参考情報・出典

本記事は筆者の体験と生活者視点をもとに構成していますが、医学的な理解を深めるために以下の公的情報を参考にしています。体調に不安がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。


関連記事:PMS症状記録ダイアリーの使い方

▼一人で悩まないで。フェムケアのこと、もっと気軽に話しませんか?▼

友だち追加