
「もしかして、これって普通じゃない?」と思いながらも我慢してきた月経痛や違和感。私自身が子宮内膜症に気づけなかった体験から、見逃しやすい初期症状や対処法をお伝えします。目次を見て必要なところから読んでみてください。
子宮内膜症の初期症状はなぜ気づきにくいのか?
「もしかしてこれ、病気かも?」と気づける人のほうが、もしかしたら少数派なのかもしれません。子宮内膜症の初期症状は、見過ごされやすいのが特徴です。私自身、10代からずっと違和感はありながらも、「こんなものか」と思い込んでいました。この章では、なぜ子宮内膜症に気づきにくいのか、その理由や背景を、実体験も交えながら解きほぐしていきます。
「ふつうの生理痛」と思い込みやすい理由
私もそうでしたが、多くの人が「生理痛はあるのが当たり前」「痛いのは普通」と思ってしまいがちです。
学校でも家庭でも、「生理は痛いもの」という刷り込みがあって、多少つらくても「私が弱いだけかも」と感じてしまうんですよね。市販薬でなんとかなるうちは、病院に行くほどじゃないって判断してしまう。
でも本当は、生理のたびに寝込んだり、鎮痛薬が効かないほどの痛みがあるなら、それは「ふつう」じゃない可能性もあるんです。
✅ こんな症状、当たり前にしていませんか?
- 朝起きられないほどの生理痛
- 鎮痛薬が効かず2~3回飲む
- 学校や仕事を休むレベルの腹痛
こうしたサインを「我慢」でやり過ごしてしまうことが、子宮内膜症の早期発見を遅らせる原因のひとつなんです。
自覚症状が出にくい人もいる
実は、子宮内膜症は無症状のまま進行するケースもあります。
私の知人の中には、「妊活がうまくいかずに検査をして、そこで初めて子宮内膜症が見つかった」という方もいました。月経痛が軽い人や、生理周期が規則的な人でも、体の中では炎症や癒着が進んでいることがあります。
つまり、「痛くない=大丈夫」とは限らないということ。
見た目や症状に出にくいからこそ、体の声に耳を傾ける習慣が大切になります。
見逃しやすいサインと日常の違和感
子宮内膜症の初期症状は、生理痛だけではありません。普段の生活のなかで感じる小さな違和感の積み重ねに、実はヒントがあります。
✅ 見逃されやすい“ちいさな違和感”の例
- 生理のたびに下痢や吐き気がある
- 腰や下腹部がじわじわ痛む
- 性交時に痛みを感じる
- 経血量が急に増えた、血の塊が増えた
- 排便時に強い痛みを感じる
これらは単発では「気のせいかな」で済ませがち。でも、毎月繰り返すようなら“サイン”として見逃さないでほしいと思っています。
私自身、「下腹部の鈍痛が続くけど、体質かな」と思って放置していた時期がありました。でも今振り返ると、あれが最初のSOSだったのかもしれません。
「痛い=悪い」ではなく、「いつもと違う=気に留める」。この視点が、早期発見への一歩になると私は感じています。
私が子宮内膜症に気づけなかった理由と経緯
「もう少し早く気づけていれば…」と、今でも思うことがあります。私はフェムケアの活動をしている今でこそ“自分の体と向き合うこと”の大切さを伝えていますが、実は、自分自身が長年子宮内膜症に気づけずに過ごしていたひとりです。この章では、見落としてしまったサインや、診断に至るまでのリアルな経緯を、同じような不安を抱えるあなたに向けて正直に綴ります。
10代・20代のころ抱えていた違和感
思い返せば、私の体は10代の頃から何かを訴えていました。
初潮を迎えた当初から、生理痛がひどくて、保健室に駆け込んだことも。鎮痛薬が効かない日もあれば、立っていられないほどの痛みに襲われる日もありました。でも、それを「異常」とは思えなかった。周りもつらそうにしていたし、生理は苦しいものって刷り込まれていたからです。
20代になっても状況は変わらず、むしろ症状は強くなっていきました。
✅ 当時、私が感じていた“日常化された違和感”
- 毎月のように早退するほどの腹痛
- トイレで下腹部にズキンとくる痛み
- 生理が終わっても続く腰痛
- なぜか右側だけに強く出る痛み(排卵期)
でもそれを「病気」だとは、まったく思わなかったんです。我慢する力だけが強くなっていったように思います。
見過ごした初期症状の具体例
今、当時のことを振り返って言えるのは、あれは「よくある生理痛」なんかじゃなかったということです。
例えばこんな症状、当時の私は見逃していました。
✅ 見過ごしていた初期症状の例
- 生理1日目に寝込むレベルの痛み(冷や汗+吐き気)
- 性交のあとに強い腹部の痛みが残る
- 月経時以外にも感じる下腹部の重さ
- 排便時に肛門の奥がズキンと痛む
- 月経のたびに感じる、右足の付け根の違和感
いまこれを読んで、「えっ、私もかも」と思った方は、無理に決めつけなくてもいいけれど、ぜひ一度、専門の医師に相談してほしいと心から思います。
体ってちゃんとサインを出しているんですよね。それを受け取る準備が、当時の私には足りなかったんです。
診断までにかかった年数とその背景
結果的に私が子宮内膜症と診断されるまでにかかった時間は、約15年。これは決して特別なケースではなくて、実際に子宮内膜症の診断には5〜10年かかることが多いと言われています。
ではなぜそんなに時間がかかるのか。
理由は主に3つあります。
診断が遅れる主な背景 | 内容 |
---|---|
症状が月経に関連しているため、我慢されがち | 毎月くるもの=慣れやすい・見過ごしやすい |
受診を後回しにしやすい | 忙しさや恥ずかしさで婦人科に行きづらい |
医師によって診断基準や感度が異なる | 超音波検査で見つかりにくい場合もある |
私も、仕事に追われていた時期は、婦人科に行く余裕なんてなかったし、「どうせ行っても様子見って言われるだろう」とあきらめていたところがありました。
でも、いざちゃんと検査してもらうと、「もっと早く来ていれば、癒着が進まずに済んだかもしれない」と言われたんです。
後悔しないために大切なのは、「放置しないこと」「自分の感覚を信じること」。
それを、当時の私に教えてあげたいし、今この記事を読んでいるあなたにも、そっと手渡したいです。
子宮内膜症の主な初期症状とは?
「なんだか最近、生理がつらくなってきたかも」「これって私だけ?」そんなふうに感じる瞬間があるなら、それは体からのサインかもしれません。子宮内膜症の初期症状は、誰にでもすぐに分かるわかりやすいものではありません。でも、特徴的なパターンや兆候を知っておくだけで、気づける可能性はぐっと高まるんです。この章では、見逃されがちな初期症状や、セルフチェックの視点、進行度との関係を丁寧にお伝えします。
よくある症状一覧とセルフチェック
まずは、子宮内膜症にありがちな症状を一覧にしてみましょう。以下のような症状に心当たりがある場合は、一度婦人科で相談してみる価値があります。
✅ セルフチェック:当てはまるものに✓をつけてみてください
症状の項目 | チェックポイント |
---|---|
月経痛 | ✅ 毎月、痛み止めが手放せない✅ 生理1日目は寝込むほどつらい |
腰痛・骨盤痛 | ✅ 生理のたびに腰の奥がズーンと重くなる✅ 下腹部や骨盤周辺が慢性的に痛む |
消化器症状 | ✅ 生理中に下痢や便秘を繰り返す✅ 排便時に肛門の奥が痛む |
性交痛 | ✅ セックスのときに奥がズキッと痛む✅ 行為のあとにしばらく下腹部が重だるい |
その他の違和感 | ✅ 経血の量が急に増えた✅ レバー状の血の塊がよく出るようになった |
3つ以上当てはまる場合は、一度専門医に相談してみることをおすすめします。
特に、「月経痛はつらいけど昔からだから慣れてる」という方ほど、違和感を“当たり前”にしてしまいがち。だからこそ、こうしたチェックリストで客観視することが大切です。
月経痛・腰痛・性交痛などの具体的な症状
子宮内膜症の代表的な症状には、いくつかのパターンがあります。それぞれを少し詳しく見ていきましょう。
1. 強い月経痛
もっとも多いのが、生理中の強い痛み。特に、「毎回ロキソニンを飲まないと動けない」「効かなくなってきた」というケースは要注意です。
2. 腰の奥や骨盤が重い痛み
腰や骨盤の深い部分に、じわじわと響くような痛みを感じる人もいます。生理中だけでなく、排卵期や普段から鈍痛が続く場合も。
3. 性交時・性交後の痛み
これはなかなか人に言いづらい症状かもしれませんが、セックスのときに奥のほうが痛む、突かれる感じがつらいという場合も、内膜症が疑われるポイントです。
4. 排便・排尿時の痛み
特に生理中に「トイレに行くのが怖いほど痛い」という人は、直腸や膀胱周辺に内膜症が広がっている可能性もあります。
✅ これらの症状は複数が重なって現れることも多いため、「なんとなくいろんなところが痛い…」と感じている人こそ、注意深く見つめてみてください。
症状の重さと病気の進行度は比例しない
ここでひとつ、誤解されやすい大切なポイントがあります。
それは、「症状の重さ」と「病気の進行度」が必ずしも一致しないということ。
例えば、軽度の子宮内膜症でも激しい痛みを感じる人がいる一方で、かなり進行して癒着が広がっている状態でも、ほとんど症状を感じない人もいるんです。
だからこそ、「私はそんなに痛くないから、大丈夫だと思う」は危険な自己判断になりかねません。
症状が軽くても検査は受けていいし、不安があるなら受診する理由になる。
フェムケアの基本は、“我慢すること”ではなく、“選べること”です。
何か違うと感じたら、その感覚を信じてください。
あなたのその小さな違和感が、体を守る第一歩になるかもしれません。
「様子見」で済ませないためにできること
「たぶん大丈夫」「もう少し様子を見よう」——そうやって自分の体の違和感を後回しにするクセ、ありませんか?私自身、まさにそれで受診が遅れたひとりです。でも、“様子見”の先にあったのは、後悔と長引く治療でした。この章では、気になる症状があったときに自分の体とどう向き合うか、行動に移すための具体策をお伝えします。
気になる症状があるときの行動チェックリスト
体からのサインを感じたとき、「受診すべきかどうか」の判断って本当にむずかしいですよね。そんなときのために、行動に移すかどうかの目安となるチェックリストを作りました。
✅ 以下のいずれかに当てはまったら“様子見しすぎ注意”です
- 生理痛で仕事・学校を休むことが年に2回以上ある
- 毎回、鎮痛薬を2回以上服用しても効かない
- 生理中でなくても下腹部や腰に痛みを感じる
- 性交や排便で痛みを感じることがある
- 経血量や経血の質(血の塊など)が急に変化した
- 体調不良が「毎月同じ時期」に繰り返される
- フェムゾーンや骨盤まわりの重だるさがずっと続く
1つでも当てはまったら、「婦人科に行く理由」になります。
「まだ大丈夫」「様子を見よう」と思っても、早めに受診することで“違った”と分かればそれで安心できます。
大切なのは、体からの声を“なかったこと”にしないことなんです。
婦人科受診のハードルを下げる方法
「婦人科ってなんとなく行きづらい」「診察が怖い」と感じるのは当然のこと。
でも、だからこそ、自分が“行きやすい”と思える選び方と心構えが大切です。
✅ 婦人科受診のハードルを下げる3つのコツ
- 女性医師がいるクリニックを選ぶ
「同性の医師のほうが話しやすい」と感じるなら、その気持ちを大切にしてOKです。 - 事前に症状をメモしておく
診察時にうまく説明できなくても、メモを見せるだけで医師は状況を理解してくれます。 - 内診が必要かどうかを事前に電話で確認する
「初診では問診と超音波だけ」というクリニックも多くあります。気になる場合は、遠慮せずに聞いてみてください。
私も最初の一歩が本当に怖かった。でも、実際に受診してみると「もっと早く行けばよかった」と心から思えたんです。
あなたも、そんなふうに感じられる日がきっと来ます。
周囲に相談することの大切さ
もうひとつ、「様子見」をやめるために必要なこと——それは一人で抱え込まないことです。
女性特有の体の不調って、なかなか人に言いづらいですよね。私もずっと「みんなもそうだろうし」と思って口にできずにいました。
でもある日、信頼している友人に勇気を出して話してみたら、「えっ、それはちょっと変かもよ」と言われて。それが病院に行くきっかけになりました。
✅ 誰かに話すだけで得られる気づき
- 「私もそれあったよ」→仲間がいる安心感
- 「それ、受診したほうがいいよ」→背中を押してもらえる
- 「この病院おすすめだよ」→選択肢が増える
家族でも、パートナーでも、友人でも。
あなたが「この人なら話せる」と思える相手に、ほんの少しだけ、体のことをシェアしてみてほしいんです。
フェムケアは、ひとりで完結させなくていい。
頼れる人を持つことも、大事なケアのひとつですから。
子宮内膜症と診断された後の変化と今の私
子宮内膜症と診断されたとき、正直、ショックというよりも「やっと名前がついた」という安堵のほうが大きかったのを覚えています。長年感じていた違和感、我慢してきた痛みに、意味があったんだって思えたから。ここでは、診断後に起きた変化や、治療を通じて見えてきた「本当の自分との向き合い方」について、正直にお話しします。
病名がついて安心した気持ち
「やっぱりそうだったんだ」と思えた瞬間、涙が出ました。
何年も「気のせいかも」「私が弱いだけかも」と思い込んでいたからこそ、医師から「子宮内膜症です」と言われたときは、ほっとするような気持ちになったんです。
✅ 診断がついてよかったと感じた理由
- 自分のつらさが「思い込み」ではなかったと確認できた
- 周囲に説明しやすくなった(仕事の配慮も受けやすくなった)
- 適切な治療やケアを始めるスタートラインに立てた
病名がつくことは、怖いことじゃない。
それは自分の体に名前をつけてあげること=否定していた痛みに意味を与えることだったと、今なら思えます。
治療を通じて変わった体と心の向き合い方
治療は、決してラクな道ばかりではありませんでした。
ホルモン治療の副作用もあったし、食事や生活習慣の見直しも必要で。
それでも私は、「治療=ケアの再スタート」だと捉えることができました。
なぜなら、子宮内膜症と向き合い始めてから、“がんばらない選択”を許せるようになったからです。
✅ 治療後に変わったこと
- 「無理をしない」ことを、選べるようになった
- 体調の波に合わせて仕事を調整するようになった
- 自分のケアを優先しても、誰も責めないと気づいた
- 「つらい」を言葉にして伝える勇気が持てた
以前の私は、痛くても予定をこなすことが“強さ”だと思っていました。
でも今は、休むことも、頼ることも、ちゃんとした選択肢だと思えます。
自分の体に対して、ようやく“味方になれた”ような感覚です。
同じように悩む人へ伝えたいこと
もしあなたが今、月経のたびに不調を感じているのなら。
「こんなもんかな」で片づけずに、その違和感に向き合ってほしい。
そして、私があのときできなかったように、どうかひとりで抱え込まないでほしい。
子宮内膜症は、誰にでも起こり得る病気です。
でも早く気づけたら、それだけ選択肢が増えます。
薬、手術、生活改善、サポート制度…。
そのどれもが、あなたの「これから」を支えるものになるはずです。
そして何より、自分の体に丁寧に向き合うことが、自分自身を大切にすることにつながるんです。
私の体験が、あなたの不安を少しでも和らげるきっかけになったらうれしいです。
あなたの体は、あなたのもの。
どうかその声を、ちゃんと聞いてあげてくださいね。