
試飲会のために用意した限定ワインが、イベント中止でまさかの在庫化。
小規模ワイナリーにとって、50本の在庫は“ただの余剰”ではありません。
現場のリアルな課題と可能性を考えてみました。目次を見て必要なところから読んでみてください。
こんにちは。OEFの谷澤まさみです。
あなたが、地元に根ざした小規模ワイナリーの運営に関わっていて、販促も製造も、少人数で回しているとします。普段はレストランやワインショップとの地道な取引を続けながら、年に数回の試飲イベントを一番の勝負どころに据えている——そんなリアルな状況、想像できますよね。
とある春、ワイナリーでは新作ロゼワインのプロモーションを兼ねて、地元の百貨店とタイアップした試飲会イベントを企画。目玉の「限定ロゼ50本」をイベント専用ボトルで製造し、特別ラベルまで用意していました。
しかし、開催1週間前。大雨による会場側の事情で、イベントはまさかの中止に。再調整も叶わず、すべての販路が一瞬にして断たれました。
商品への想いが強いからこそ、判断が難しい
今回ボトリングしたロゼワインは、通常ラインとは異なるアッサンブラージュで、繊細な味わいと淡いサーモンピンクが特徴。食前酒としても評価される仕上がりで、「この春いちばんのヒットになるかも」という手応えがありました。
試飲会では「その場で購入できる限定50本」が主力導線。オーダーは通っておらず、委託ではない完全自主製造です。販売開始はイベント日が初回予定で、ECにも一般販路にも流していませんでした。
そう、つまり“ゼロスタートでの在庫化”。しかも、ラベルに「◯月限定」の表記があり、他シーズンへの転用も難しい仕様。季節も逸すれば、テーマ性も失われ、単価の高い商品ほど“ただの余剰”になってしまいます。
残された50本が、じわじわと圧迫してくる
保管には適正温度が求められ、冷蔵スペースも限られている中で、50本とはいえボトルワインは物理的にも重く、かさばる存在です。熟成を進めすぎれば味わいも変わってくる。
「すぐ売ればいい」と言っても、通常の販売ルートでは“春の限定感”を訴求できないし、「安売りはブランドイメージに響く」という葛藤もある。
関係各所との協議の中で、「スタッフ向けに配ろうか」「セットにして販売しようか」「SNS限定で捌こうか」と、さまざまな案は出るものの、決め手に欠けたまま時間だけが過ぎていく——。
焦る気持ちと、商品への愛着と、ブランドの誇り。そのすべてが判断を鈍らせ、結局「動けない」状態が続いてしまう。これもまた、在庫課題の典型例ではないでしょうか。
従来の販路は、売り切るには強すぎる
ワイナリーのように、商品単価が高く、ブランドで勝負する業態では「セール」そのものがリスクになります。下手に割引をすると、「あのワイン、値崩れしてるよね」という印象が残ってしまい、次回の販売に響くことも。
また、一般的なECに出品しても、広告を打たなければほぼ見られません。販売手数料や配送コストを考えると、「50本だけ」という規模感では、むしろマイナスになるケースもあります。
寝かせるにしても、季節性が高いデザイン、構成、コンセプトでは、「1年後まで持たせる」には無理があります。時間が経てば経つほど、商品も状況も“いびつ”になっていくのです。
そんなとき、OEFのような仕組みが活用できるかもしれません
OEFは、エシカル消費をテーマにしたクローズド型ECモール。一般のECと違って、「価格に共感して買う」のではなく、「価値観に共感して選ぶ」ユーザーが集まる場です。
つまり、「春に届けるはずだった希少な50本」も、「過剰在庫」ではなく、「選ばれ待ちの商品」として、価値を持ったまま届けることが可能になります。
特に、OEFの出品は小ロット・短期出品に対応しており、1ロットから出せるのが特徴。広告費もかからず、ブランド価値を保ちつつ在庫処分できる設計になっています。