
OEM商品のキャンセルで在庫400本を抱えたら?倒産リスク、ブランド維持、在庫負担…あなたならどうしますか。目次を見て必要なところから読んでみてください。
OEMキャンセルのハンドクリーム400本——もし取引先倒産で在庫全量返品なら?
こんにちは。OEFの谷澤まさみです。
あなたがもし、美容系のOEM商品を扱う小さなブランドの担当者だったとします。主力商品の一つは、こだわりの天然成分を使ったハンドクリーム。香りや使用感に独自性があり、OEM先と試作を重ねてようやく完成にこぎつけた商品でした。
販路は百貨店のセレクトコーナーや、地方のギフトショップ。ある取引先では、「年末ギフトに向けて」として400本のまとまった注文を受け、ブランドとしても大きなチャンスだと期待していました。
ところが——。
想定外の“全量キャンセル”。取引先の倒産が引き起こした現実
その知らせは、突然でした。年末商戦を目前に控えた11月、ハンドクリーム400本を発注していた取引先から「会社清算のお知らせ」が届いたのです。債権者とのやりとりもなく、商品の納品すらまだという段階で、契約は事実上無効。返品ではなく、“納品できず・請求できず”のまま、在庫として手元に残りました。
400本。定価で売れれば1本あたり2,000円として、売上見込は80万円。OEM製造ゆえ、すでに半分以上は支払い済み。在庫として抱え込んだ瞬間から、それは「資産」ではなく「負債」になったのです。
ハンドクリームはコスメの中でも比較的回転の早いアイテムではありますが、販売期限の目安や品質保証の観点から、常温保管で1年がリミット。しかも、冬向けの使用感とデザイン——春になれば売り場の季節感とずれてしまいます。
キャッシュフローとブランドイメージの板挟み
400本の在庫は、ブランド側の事務所兼倉庫の一角に積まれました。香りを守るため遮光・密閉の保管環境が求められ、エアコン代や防虫対応など、目に見えない維持コストもじわじわと重なります。
問題は物理的なスペースだけではありません。「どうやって売り切るか」が最大の悩みでした。
まず頭をよぎったのは、「期間限定セール」。ただし、セール価格をSNSで広めれば、既存顧客からは「高い時に買ったのに」との声があがるリスクがあります。さらに、取引先のバイヤーから「値崩れした商品は仕入れづらい」と敬遠されることも。
かといって、メルカリやフリマアプリで小売りするには手間もかかるし、ブランドイメージとの乖離も大きすぎる。
ECサイトでの販売も考えましたが、すでに公式サイトでは定価販売中。在庫処分のために併売する形では、価格の一貫性が崩れてしまう。最終的には、「捨てる」か「誰かにあげる」か——そんな、出口のない思考に陥っていきました。
“出口”のない在庫に、意味を与えるには?
そんな中、「まだ価値があるのに、売る場所がない」商品を扱う新しい仕組みがあることを知りました。
OEFのようなアウトレット販路では、ブランドの世界観を損なわず、理由ある価格設定が可能です。なぜ値引きされているのか、その背景をきちんと説明できるから——「シーズン商品でキャンセルが出た」「パッケージに細かなキズがある」「OEMロットの一部が残った」など、商品の“物語”に納得して買ってくれる人にだけ届ける。
たとえば、OEFでは商品ページの閲覧は誰でも可能ですが、購入できるのはサブスク登録者のみ。つまり、“お得”だけを求めるユーザーではなく、エシカル消費に共感している層に届く仕組みなのです。
続きでは、どのように在庫に新たな意味を持たせ、エシカルな視点で再流通につなげるか、さらに深掘りしていきます。